洋書

□Vergil or Dante…?
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誘惑の魔女との会話を強制的に放棄し、次は壁に掛かった一対の刀をじろりと睨む。
「お前らはお前らで、俺との約束はどうした?」
顔の付いた赤と青の刀は喋らない。
喋らないことを条件に同行を許されたのだから、当然といえば当然なのだが。
「今は喋っていいぞ、そして言い訳があるなら聞いてやる」
引きつった笑顔でアグニとルドラに近づくダンテだが、両手はしっかりエボニーとアイボリーの照準を定めている。
「待て!」
「待たれよ!」
「我らは兄上に聞かれたのだ」
「そして兄上に答えたのだ!」
「スパイスの使用方法を!」
「スパイスのおいしい調理法を!」
「幾種類かはお前の腹にも入ったであろう!」
「そして満腹になったであろう!」
必死に喋る双子の刀に、容赦ない銃弾の嵐がぶつかる。
「ひどい!」
「ひどすぎる!」
強面のくせに半泣きの刀たち。
「んで?バージルに料理方法を聞かれたとき、お前らは勝手に喋ったんだな?」
「……」
「……」
「都合の悪いときだけ無口になるなぁっ!」
再びエボニー&アイボリー炸裂。何しろアグニもルドラも魔具なので傷一つ付かないが、痛いものは痛い。
労働者の権利を一切無視した雇い主の行いに、強面の泣き声がひとしきり響き渡ったとき。




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