灼かれた視界が暗転する。 次に目を開けたとき、何を見なければならないのか。 バージルには解っていた。 目を閉じていれば、あるいは見なくても済むのだろうか。 それも無駄なことだろう。 バージルは静かに目を開いた。 「あんた、マジでガッツあるな。気に入ったぜ」 心底から楽しそうに言う、ダンテ。 より強い者に惹かれる悪魔の性。命のやり取りだというのに、その瞳は生気に溢れている。 バージルは悲しく微笑んだ。 そんな、弟の真っ直ぐな闘志が好きだ。純粋な力には偽りのない賞賛を捧げる、その廉直さも好きだ。 味方の一人もいないだろう状況で、ダンテは好敵手の存在に戦う意味を見出している。 閃く紫電と暗黒の魔弾。 激しくぶつかり、鮮血を散らし、華麗に無残に続く死の舞踏。 そして エボニーの銃身がほの白く月光に輝いた 銃口が火を吹く 退魔の力を宿す銃弾が、闇に堕ちた騎士の額を撃ち抜いた 眉間に熱を感じた瞬間、バージルは中空でその光景を見下ろしていた。 苦悶する黒い天使の体が光を放ち、消えていく。 目映い光の中から、輝く何かが落ちてきた。 拾い上げたダンテの瞳が、絶望の影を映す。 アミュレットを握り締める、その姿は、冥府の河で血塗れた掌を握り締めた姿と重なって見えた。 (違う…ダンテ…俺は、俺は、ここに――――!) 聞こえないと解っていながらも、泣きそうな弟の眼差しに、バージルは必死に叫んだ。 何度目か解らない光が、視界に閃いた。 |