洋書

□World Start at Dawn
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灼かれた視界が暗転する。
次に目を開けたとき、何を見なければならないのか。
バージルには解っていた。
目を閉じていれば、あるいは見なくても済むのだろうか。
それも無駄なことだろう。
バージルは静かに目を開いた。




「あんた、マジでガッツあるな。気に入ったぜ」
心底から楽しそうに言う、ダンテ。
より強い者に惹かれる悪魔の性。命のやり取りだというのに、その瞳は生気に溢れている。
バージルは悲しく微笑んだ。
そんな、弟の真っ直ぐな闘志が好きだ。純粋な力には偽りのない賞賛を捧げる、その廉直さも好きだ。
味方の一人もいないだろう状況で、ダンテは好敵手の存在に戦う意味を見出している。
閃く紫電と暗黒の魔弾。
激しくぶつかり、鮮血を散らし、華麗に無残に続く死の舞踏。

そして

エボニーの銃身がほの白く月光に輝いた
銃口が火を吹く
退魔の力を宿す銃弾が、闇に堕ちた騎士の額を撃ち抜いた

眉間に熱を感じた瞬間、バージルは中空でその光景を見下ろしていた。

苦悶する黒い天使の体が光を放ち、消えていく。
目映い光の中から、輝く何かが落ちてきた。
拾い上げたダンテの瞳が、絶望の影を映す。

アミュレットを握り締める、その姿は、冥府の河で血塗れた掌を握り締めた姿と重なって見えた。

(違う…ダンテ…俺は、俺は、ここに――――!)

聞こえないと解っていながらも、泣きそうな弟の眼差しに、バージルは必死に叫んだ。
何度目か解らない光が、視界に閃いた。




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