「訳が分からん…」 呆れたように言うと、バージルは愛刀を手にした。 時計を見れば、すでに11時30分を過ぎている。 「頃合いだな。――行ってくる」 「行ってらっしゃい」 にこにこしながら近寄ってくるダンテは、ちょいちょいと自分の頬を指し示す。 バージルは軽くため息をついた。 「いい年をして…」 額へ軽くキスをくれてやると、満足そうに笑って「気をつけてな」と送り出す。 「待ってていいか?」 「休んでいろ」 「待ってるからな」 「……好きにしろ」 もう一度、今度は頬にキスしてやって、バージルは扉を閉めた。 見上げた空には、冴え冴えと皓い、満月に少し足りない月が憩っていた。 |