洋書

□World End Super Nova
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長い雨が止んだ後は、急にすっきりと晴れた夜が続いた。
生活が大気そのものとして沈澱しているスラム街でも、少々古風な窓のガラスを通して外界を見れば、申し分ない美しさの月と闇が広がっていた。

「バージル…?」

外の闇を見つめていたバージルが、夜から弟へと視線を移す。
鋼の窓格子と、青白い月のベールをかづいた闇が、バージルの白い輪郭を浮かび上がらせた。
彼には、月がよく似合う。
まるで彼が冥き世界の住人であると示すかのように。

刹那の美しさと寂漠を脳裏に焼き付けたダンテは、ぎこちない笑顔で肩をすくめてみせた。
「世の中平和だねぇ、お兄様?」
何かと思えばそんなことを言われ、バージルは怪訝な顔をした。
「どうした」
デスクに歩み寄ってくるバージルから、夜と月の気配が薄れていく。

闇が背に、足に、手を伸ばしても、バージルは何ら気にもせず歩みを進めて弟の正面に立つ。

そんなイメージに1人で満足しつつ

「あんたって月の精霊みたいだな」

ダンテはいつもの調子を取り戻していた。




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