洋書
□※過去―Side Rebellion―
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封印を解く言葉が聞こえた。
今がその時なのか、と、浮上しつつある意識の中で感じた。
そんな“時”など来なければいい。
そう願って、眠りについたはずだった。
だが、私は解き放たれてしまった。
そうならぬようにと、願っていたのに。
過去――Side Rebellion――
スパーダ…今は亡き、敬愛する我が主よ
あなたとて、こんな運命は知りたくなかったはずだろうに…
焼け落ちる白壁、崩れ行く尖塔―主の生きた証も、全て燃え尽きていく。
落命する人影――ああ、高貴な魂が喪われてしまう!――に、零れるはずのない涙を渇望した。
私の目は、無慈悲なる猛火が繰り広げる災厄を、ただ見つめていた。
これすら、定めと呼ぶべきなのか…?
我が主スパーダよ。
あなたは、この禍に涙しただろう。
私の首には、紅く輝く魔界の貴石が絡み付いている。
業火の熱に焼け融けるがごとく。
嘗て託され、今託され、やがて託される、意志と運命。
この結晶が運命の扉を開くものならば、私は扉を閉ざす意志となろう。
彼に私を選んだのは、彼が“意志”を継ぐ者だから。
そうなのだろう、スパーダ?
そして、彼はいまだ若い。
見よ、焦土に在って茫然と自失している。
主よ、あなたの佳偶はかつて、こう歌っていたな。
種は空を仰ぐ、か弱い種たちは長く日の光を待つ、と
その種から萌え出ずる芽は、愚かな時の大鎌に刈り取られてはならない。
まして、時知らぬ炎熱の牢獄に繋がれた輩には――!
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