洋書

□The Sacrifice of Mortal Priestess
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その疑問をぶつけてみたら、ストロベリーサンデーをがっついていた大男は、イチゴをかじりながら笑い飛ばした。

自分の父親のことだというのに

レディは呆れて、ダンテを睨んだ。
「真面目に聞いてるのよ」
「生まれてないのに、んなこと解んねえよ」
クリームを拭いながら、にやっと笑う。
「お前のご先祖ってのがすごい美人で、お互いぞっこんになって血の契約、なーんてな゛っッがハッっ!!」
銀髪の頭がいきなり前にのめり、語尾がおかしな具合につぶれた。
が、半魔のタフさ、すぐさま原因の方を振り返る。
「なにもラウンドトリップするこたないだろうが!」
視線と抗議の先には、画集へ目を落としたままのバージルがいた。手元には、いつのまに移動したのかフォースエッジ。
「おい、聞いてんのか、バージル!」
「うるさい。黙れ。峰打ちも避けられんのか、クズが」
視線を本から離さぬまま、事も無げに罵詈雑言を投げつける兄。
ダンテがいじけて静かになったところで、ようやく、バージルは顔を上げた。

「レディ」

あっさりと呼ばれ、かえってレディは緊張を覚えた。
冷徹な眼差しが身体を捉え、氷のように透る声が心を縛る、そんな錯覚。
バージルという男を前にすると、氷の扉に手を触れているような気分になる。
「レディ、この世で心を読める存在があるとすれば、それは神だけだ」
「どういうこと?」
「親父の考えなどわからん。考えようとも思わなかった」
不本意だがな、と、バージルは弟を一瞥した。
ダンテの方は、兄が自分と同じことを考えていたと知り、にやりと笑っている。
「スパーダが、ただ自由を求めただけであれば、魔界を一人で封じ込めるほどの力を、ともに捨て去ろうとはしないだろう」
レディは頷く。
「あるいは、その巫女の献身が、スパーダの心を打ったのかもしれない」
呟くように語るバージルの、言葉の端々に、どこか柔らかな感情が響く。
1年前には、けして感じなかった、確かな“心”を感じさせる、そんな声。




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