「子上…お前は…ッ!」 初めて見た。 彼が心の底から怒り、悲しみ、憎むのを。 その目に燃え上がる憤りは、突き刺すように己が罪を照らし、裁き、焼き尽くそうとしている。 ――ああ、そんな目で見ないでくれ…! それは、自らに罪有りと、自覚している証拠。 初めて、人を恐ろしいと思った。 「違う…私じゃない…」 私じゃない! 私は少なくとも、彼の死など望んではいなかった。 私は彼に触れたいと願っていたのに。 ようやく、その願いが叶いそうだったというのに。 ただ、そう訴えたかっただけなのに。 「私じゃない…私は……こんなこと、望んでいない…」 震える唇が訴えたのは、ただ、己が身に降りかかる累禍を払おうとする言い訳にも等しい、情けないほどありふれた言葉。 「信じてくれ、元伯…こんなこと…」 「もう止めろ!」 失望と怒りのあまり蒼白になった陳泰が、憮然と吐き捨てた。 「あなたが…そんな台詞を言うのか…!」 「元伯……私は……」 言いかけた言葉は、しかし、背後に迫る足音で遮られた。 あるいは、それは幸いだったのかもしれない。 訴えたところで、それが真の意味を伝えることなど、できなかっただろう。 |