幸した妃嬪は多いが、その割に男子は少ない。 後宮に目立つのは、父親譲りのどこか頽廃した可憐さの、腺の細い姫宮たちばかりだった。 だが、彼を太子だと考える者は少ない。取り巻きたちでさえ、そうなのだ。 彼女の影を、誰もが口に出さないが、誰もが畏れている。 廃后であるが、彼女の高貴な存在は隠然として人々の心に蟠っていた。 廃された后の宮――その響きすら、畏敬が込められている。 人を魅入る、あの美しさは、そんな彼女の亡霊が傍らに佇んでいるからだ。 曹霖は、そう思い込むようにしている。 一応の「弟」である、他人に等しい間柄の存在に対する眼差し。 兄弟として親愛したいが、その相手があまりに「兄弟」として望みたい人格から逸脱していることへの、複雑な悲しみ。 しかし、「弟」であるという事実に覚える、肉親の情愛――むしろ、情愛を知りたいという渇望なのかもしれないが。 それが凝り固まって、あの哀れむような眼差しとなったのであれば、あの宝玉に等しい目を潰してやりたかった。 俺はお前なんかと違う! 叫んでみたところで、すでに敗北感は決まっているのだった。 |