書架・二

□Narcissistic Cannibal
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幸した妃嬪は多いが、その割に男子は少ない。
後宮に目立つのは、父親譲りのどこか頽廃した可憐さの、腺の細い姫宮たちばかりだった。

だが、彼を太子だと考える者は少ない。取り巻きたちでさえ、そうなのだ。

彼女の影を、誰もが口に出さないが、誰もが畏れている。
廃后であるが、彼女の高貴な存在は隠然として人々の心に蟠っていた。
廃された后の宮――その響きすら、畏敬が込められている。
人を魅入る、あの美しさは、そんな彼女の亡霊が傍らに佇んでいるからだ。
曹霖は、そう思い込むようにしている。

一応の「弟」である、他人に等しい間柄の存在に対する眼差し。
兄弟として親愛したいが、その相手があまりに「兄弟」として望みたい人格から逸脱していることへの、複雑な悲しみ。
しかし、「弟」であるという事実に覚える、肉親の情愛――むしろ、情愛を知りたいという渇望なのかもしれないが。
それが凝り固まって、あの哀れむような眼差しとなったのであれば、あの宝玉に等しい目を潰してやりたかった。

俺はお前なんかと違う!

叫んでみたところで、すでに敗北感は決まっているのだった。








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