写本

□Beautiful world
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――雍丘へ行きたい。

 疲労の色濃い表情で呟かれた天子の言葉に、陳群は静かに頷き、一礼した。
 間も無く、宮城より勅使が発し、一路雍丘へと向かった。


 行幸の報にも、曹植はなんら驚くことなく使者を迎えた。
「然るべきお支度をもって迎えられませ」
 お解かりでしょうな、とぶしつけに付け足す監国たちの言葉に、曹植は
「余計な仕儀は不要」
 とだけ言い置いた。
 監国たちは半ば呆れ、半ば冷笑して、不遇な皇弟を見やった。儀礼を軽んじて今日の境遇に至った者が何を言う、と。
「いくら殿下といえども、これ以上、陛下のご 不興をかっては、ただではすみませんぞ」
半ば脅迫するような言葉にも、しかし、曹植は首を振った。

「陛下は何も望んではおられないのですから」




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