あの白い手だけが、私の顔を覆う鎧を外すことができるのだ。 美しい手だ。 誰より神聖な手。 「恐ろしくはないのですか」 「ないな」 その手だけが、忌まわしい肌を愛おしむ。 「穢らわしいとは…思わない?」 「ない」 言葉少なに、私が望む言葉を与えて笑う。 幽かに唇をよぎる笑みが、冷たい瞳に映える。 「この頬を切り裂いたなら、珠玉がこぼれるだろうか」 その指は、瞼を、私の眼を、優しく愛撫する。 「あるいは」 否 眼の形を愛でている。 「お前の眼を抉り出して、宝玉にしたい」 なんと可愛らしいことを仰る。 その御手を引き剥がして、抱きしめ、左目に口づけて差し上げよう。 「では、あなたの左目はわたくしに」 そう答えると、彼は沈黙してしまわれる。 命なき美しき眼差しに宿る恐れを、私は見て取る。 その恐れが、刹那の怯えが、私の心に悦びを灯すのだ。 それでも、その御目をまっすぐ、こちらへ向けてくださる。 「お前の望むままに」 そのお言葉、そのお声。 あなたがお見せになる、強さと弱さ。 それこそ――それをこそ、見たい。 だから、私はあなたを追い詰める。 その美しいすべてを、私の前にさらけ出してくださるまで。 |