写本・第二

□La Gloriosa
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あの白い手だけが、私の顔を覆う鎧を外すことができるのだ。

美しい手だ。
誰より神聖な手。

「恐ろしくはないのですか」
「ないな」

その手だけが、忌まわしい肌を愛おしむ。

「穢らわしいとは…思わない?」
「ない」

言葉少なに、私が望む言葉を与えて笑う。
幽かに唇をよぎる笑みが、冷たい瞳に映える。

「この頬を切り裂いたなら、珠玉がこぼれるだろうか」

その指は、瞼を、私の眼を、優しく愛撫する。

「あるいは」


眼の形を愛でている。

「お前の眼を抉り出して、宝玉にしたい」


なんと可愛らしいことを仰る。
その御手を引き剥がして、抱きしめ、左目に口づけて差し上げよう。

「では、あなたの左目はわたくしに」

そう答えると、彼は沈黙してしまわれる。
命なき美しき眼差しに宿る恐れを、私は見て取る。
その恐れが、刹那の怯えが、私の心に悦びを灯すのだ。

それでも、その御目をまっすぐ、こちらへ向けてくださる。

「お前の望むままに」

そのお言葉、そのお声。
あなたがお見せになる、強さと弱さ。
それこそ――それをこそ、見たい。
だから、私はあなたを追い詰める。
その美しいすべてを、私の前にさらけ出してくださるまで。










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