暑い。 盛夏の西日がじりじりと褥を焼く。投げ出した腕に陽が当たり、焦げていくような気がする。 もう日が落ちる。だが、その沈むまでの時が、恐ろしい程もどかしく、そして長い。 するりと黒い影が伸びて簾を下ろした。 「暑いでしょう」 ほとんどはだけた麻の単衣にも、じわりと汗が染みている。 「…気が利くの」 物を言うのもおっくうそうな礼の言葉に、澄んだ青い瞳が微笑んだ。 確かに暑い。だが、暑い暑いといいながら、あまり広いといえない寝台に二人が乗っているのは、もっと可笑しい光景に違いない。 「そなたにも、こんな酔狂なところがあるのじゃな」 からかうようだが、その口調は温かい。 それを感じ取った、沮授は青い目を更に優しく細めた。 「私も男です。――あなたを、抱いてみたくなりました」 大胆、不敵。 灼けるような夕陽よりも、更に赤く息づく瞳が笑った。 ――構わない。 そう、言ってくれていた。 --------------- ……という夢を見たので(実話)、忘れないうちに掌編化してみた。 軍師沮授は案外とリバーシブルいけるな、というのが第一印象(そこか) |