「おい、あんた…!」 「何をうろたえておる」 「何を、って!」 鎧ごと腕を抉られて、まだ出撃するつもりか。 公孫瓚は平然と、血を吸った戎衣の切れ端を歯で締め上げ、止血している。 「腕を落とされたわけでなし、まだやれるわ」 興奮のせいか痛みは感じない。 退く気もない。 片口に刺さった矢を引き抜いて捨てた。 「叔朗」 「あぁ?」 「文台に伝えてこい。この攻城を防いだら出ると」 孫皎は何か言いかけたが、やめた。 血まみれの腕をぶら下げて冷静かつ不敵に笑うような男だ。 この期に及んで心配しても仕方ない。 「…伯父貴が惚れるわけだ」 公孫瓚は、にやりと笑うだけだった。 |