無双BASARA

□致賢
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遠呂智の魔力によって、全土の地理は全く変わってしまった。
それは魏とて例外ではない。杭瀬川、天水、夏口、南蛮、夷陵、冀州、雑賀、小田原、涼州、陳倉、山崎、合肥――これに厳島、浦戸、春日山を加えた地域が、現在の“魏領”を構成していた。

厳島は背後に彌山ならぬ郡山を抱き、都市全体を眺める丘の上には郡山城がそびえ、しかも夏口の海路を挟んで遠呂智領と近接していた。
その対岸には、海路・水路・港湾を一望できる地に、無数の重騎を擁した浦戸城が位置している。
夏口を渡れば、そこは遠呂智軍と魏軍が領有をめぐって睨み合う五関である。

妲己率いる遠呂智軍10万が郡山へ侵攻したのは、遠呂智の強力な支持者であったはずの伊達政宗が、もうひとりの伊達政宗に説かれて遠呂智軍を出奔して、間も無くのことであった。
というより、「伊達政宗の出奔によって遠呂智軍を弱体化させ、焦って出兵するだろう遠呂智軍を叩く」との戦略は、実質的に魏の――毛利元就の策謀によるものであったから、魏としては筋書き通りであり、迎撃の準備も万端整っていた。




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