最近、気になることがある。 いや、正確に言えば、ずっと気になっていたのだが、寛大な俺は敢えて黙殺していたというだけの話であって。 「何でお前らはバージルの言うことばっかり素直に聞く!?」 とある昼下がり。 怒りを爆発させたダンテに、ケルベロスやネヴァンはじめ「ダンテの」使い魔たちは顔を見合わせた。 そう、彼らは皆、テメンニグルでダンテに敗れ、その力を認めて、彼を支援することを誓った武器なのだ。 それなのに。 「お前ら!最近、俺に対する態度がぞんざいだぞ!言っとくけどな、お前らを倒したのは俺だぞ、俺!」 「我らを復活させてくれたのは兄上だから、一応、義理は…」 「うるさい、ケルベロス!」 ドーベルマンの姿でデビルメイクライの有能な番犬を勤めるケルベロス。 最初にダンテを認めた魔具であるが、気がつけば、今やバージルの足元をちゃっかり定位置とし、真夏にはバージル専用の冷房器具と化す。 バージルはバージルで、足元で静かに気配を消すケルベロスを、読書中に無意識に撫でてやったりする。 それだけでなく、最近は度々、この忠実な魔界の猛犬を仕事に同伴する。 一緒に仕事をしない兄を咎めるダンテに、その氷よりも冷たい碧眼はじろりと一瞥をくれて、一言。 『こいつのほうが、貴様の何倍も役に立つ』 高位の悪魔とはいえ、犬。 その犬と比較された挙句、格下の烙印を押されたことは、ダンテにとってトラウマの一つである。 |