涙も血も、ほとんど同じなんだって。 ただ、ほんの少し役割が異なっただけで、何もかも違って見えてしまう。 真っ赤な血…確かに人の中を流れる血… そこに透明な涙が少しこぼれて それがなんだというの…? 真っ赤な揺らめきに飲み込まれて、どこに落ちたか判りはしないのだから ―――スパーダは、本当に正義に目覚めたのだろうか テメンニグルを生き延びてから、ずっとそのことを考えていた。 悪魔の血の封印に、人間の血の封印。 魔界の全てを封じるためには、特殊な血の封印が確かに必要だったのだろう。 それは、よく解る。 解るのだが……。 ―――スパーダは、穢れなき巫女の血を用いるとき、何を考えていたのだろう…? "巫女の血"は"生きた人間が痛みを伴って流すもの"だと知っていたのだろうか。 あるいは ただ、"魔界を封じるために不可欠な手段"として捉えていたのだろうか… |