書架・二

□真絶
1ページ/1ページ




摺り足のように静かな足音はよく知っている。
いっそういたたまれない気分に追いやられていく。
足音は背後でぴたりと止まり、哀しげな沈黙が落ちた。

「ああ、陛下……」
悲鳴に近い、微かな声が漏れた。
立ち竦む司馬昭を押しのけるように、彼は駆け寄る。
横たえられた遺骸にぬか付く姿は、消え入りそうなほどか細く見えた。

「陛下、わたくしがお側におります……お休みなさいませ…」










[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ