書架・二

□碁敵
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白い指が、ぱちり、と象嵌の入った石を弾く。
狙いはいい。
盤の端のほうに並ぶ得点の高い石。
二つ同時に落とし、逆転するつもりだろう。
(だが、親石の位置がよくない)
案の定、親石は二つ目の石をかすめたが、落とせぬまま落下した。
「私の勝ち」
静かに告げると、落ちた棋を広い、盤へ戻す。
その石を恨めしそうに一瞥した君主と目が合う。
「あと少しだった…」
若いが妙に大人びているこの青年も、こと勝負ごとには人並みに気が高ぶるらしい。
「貴方は賢い。だが、結果に焦るあまり戦略を欠く。ゆえに負けるのです」
そう説明してやれば、澄んだ双眸がきらりと光る。

「もう一度だ」










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遊戯だからこそ、再戦できる。







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