短編
□意地を張って苦しむくらいなら全て吐き出してしまえ
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『ずっと一緒にいられたらいいのに』
聞かない方が良かった
それは、弟の切実な願いだった
分かっていた、なのに
「全く、俺は何をしているんだ」
あんなの、ダンテを傷付けるだけじゃないか
『永遠など、夢見がちな人間の妄言に過ぎない』
あの時のダンテの酷くショックを受けた表情
哀しみに揺れる瞳
(彼奴は、ずっと独りだった。だから尚更人の温もりを求めるだろうというのに)
何故俺は彼奴の哀しみを拭ってやれない
無理に求めれば身をも滅ぼす
そんなもの求めずとも、俺はずっと共にある
永遠なんて言葉よりも永く、お前の傍にいる
本当はそう言ってやりたかった
何故、口に出せない
何故、言ってやらない
何故、そこまで思っていながら安心させてやらない
あぁ、答えは簡単だ
壊れてしまいそうだから
口にした瞬間、全てが嘘へと成り果ててしまいそうだから
「…ッ」
今ごろ部屋で泣いているであろう弟を想う
意地を張って苦しむくらいなら全て吐き出してしまえ
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