短編

□永遠なんて夢見る人の戯れ言と貴方は言う
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「ずっと一緒にいられたらいいのに」


何気ない一言だった
他愛ない一人言、でも切実なもの
本気でそう思った
また、引き離されるのは、独りになるのはごめんだった
珍しく感傷に浸って呟いた一言
そんな一言に、思いがけない反応が返ってきてしまった


「永遠、か。戯れ言だな」

「!!いたのかよアンタ!?」


びっくりして後ろを振り返るといつの間にか、そこにはバージルの姿があった
返事を返され、一人言が一人言でなくなってしまった
先程の言葉を聞かれていたと思うと、途端にこっ恥ずかしくなる
そして、悲しくなる


「戯れ言、って…」


先ほどのバージルの言葉を思い返しながら、震える声でダンテは言った
バージルの返答は、ひどく冷たいものだった


「永遠など、夢見がちな人間の妄言に過ぎない」


哀しげなダンテの声に、ぴしゃりと冷たくバージルは返した

(アンタは、俺と一緒にいるのが嫌なのか…?)

氷の様な冷たい考えが頭を過った
縋る様な目でダンテはバージルを見た
しかし、バージルの表情は変わらない


「そっ…か…そうだな…ごめん、馬鹿なこと言って…」

「何故お前が謝る必要がある」

「いい、いいんだ…ごめん、バージル…ッ」


ダンテはその場に小さな嗚咽だけ残して走り去っていった


「ダンテ!?」


バージルの声が聞こえる
酷く狼狽した声
ダンテは構わず、自室に飛び込み鍵を閉めた
ドアに寄りかかり、ずず、とその場に座り込んだ



『永遠など、夢見がちな人間の妄言に過ぎない』



「妄言、か…」


ダンテは頬を伝う滴を乱暴に拭い、溢した


「それでも…俺は…」






永遠なんて夢見る人の戯れ言と貴方は言う









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