短編

□リナリア
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アリスは必ず先生に恋をする
今までのアリス、全員がそうだった

アリスは必ず先生に殺されたいと願う
今までの88人のアリス、全てがそうだった



君も、そう望むのかな



好きならば奪えばいい
もっともだ
だけど僕の想いは必ず届かない
ほら、今だって
君は僕に見せたことのない微笑みを、彼に向けている

自分の中にこんなどす黒い感情を感じたのは初めてだ
君のお姉さんの時だって、こんな感情は抱かなかった

愛しい
愛しい愛しい
愛しい愛しい愛しい

日をおうごとに僕の中のどす黒い感情は膨らんでいった

愛しい
愛しい愛しい
愛しい愛しい愛しい

日をおうごとに僕の中のどす黒い感情は膨らんでいった

恋焦がれて夜眠ることができないなんて、初めて知った

君と会う度に、少しでも長く君の姿を捉えていようと、少しでも長く君の瞳に僕を映していようと

君の気を少しでも長く引こうと、僕は何でもした

でも、必ず君は6時になる前に帰ってしまう

「大切なお茶会があるから」

そう言って

そして君は行ってしまう
あの男の元へ、帰ってしまう


その後の僕は酷く惨めだ
君に焦がれて、僕に残された君の証は君に飛ばされた僕の腕だけになる

今はない腕を抱いて、僕は毎夜君を想う

あぁ、君はどうしたら僕を見てくれるのかな




(何だ、簡単なことじゃないか)


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