キリ番

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「おーなーかー減ったー!!」
「金ちゃん、外で騒いだらあかんやろ?静かにし」
「白石ぃー!!ワイお腹減ったー!」

白石の右手にしがみ付き、じっと見上げてくる本当に泣きそうな顔に思わず苦笑が浮かぶ。
食べて寝てテニスをして。
いつだってこの子は元気一杯だ。

「なあなあ!あそこに屋台出てるで!!なあ!買ってきてもええ?」
「あーかーん。あとちょっとで試合やろ?食べてすぐ運動したらお腹痛くなるで?」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でまわし、見た目よりもずっとさらさらの髪で遊ぶと、むっと頬を膨らませ白石から目を逸らした。
「なあー!謙也ー!! お腹減ったら動けへんー!!」
「へ?」

白石は駄目だと悟ったのか、次に白石と反対側に立つ謙也の手にしがみ付く。
「なあー!買ってきてもええやろ?なあ!」
「あー…白石」
「アカン」
「金ちゃん。アカンって」
「謙也もアカンと思うのん?」

一瞬だけ白石に向けられた「別にちょっと位ならええやん」と言う視線に付け入る隙を見つけたらしく、アイフル作戦で謙也を見上げる。
「…ちょっとくらいなら…」
「そうやって甘やかしたらキリないやろ!」
「…すんません」
「謙也あー! お腹減ったら試合出来ひんー!!」
「………し」
「流されんな。金ちゃん。金ちゃんは朝ごはん一杯食べたやろ」
「いーやーやー足りひんー!!」
「金・太・郎?」
「………っ!」
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