小説
□Sweet Sweet
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「恭弥〜!久しぶり!」
年が明けて、冬休みも終わった並盛中の応接室。
突然、扉が勢いよく開いた。
「…チッ」
「ちょ、えぇ!!今舌打ちしたよね?めっちゃ舌打ちしたよね!?」
「してない」
「嘘つき恭弥!!」
入り口に立っていたのは、ディーノ。
舌打ちしたのは我らの雲雀恭弥。
「…入っていいって言ってないんだけど」
「なんで、オレと恭弥の仲じゃん!」
机に向かって書類に目を通している雲雀は、ディーノの顔も見ず淡々と話す。
ディーノは当然それが面白いわけがなく、机に顎を乗せて甘えるように声を出す。
「なぁ、恭弥ってばー」
「ウザい煩い」
「ちょっ…………あ、そうだ、ケーキ買ってきたんだけど食べねぇか?」
「………」
フッと雲雀が顔をあげる。
「……どこの?」
「並盛スイーツ」
くるんとペンを回してから、それを机に置くと、雲雀は立ち上がった。
「恭弥?」
「お茶、入れてくれるなら食べてあげてもいいよ」
途端にディーノの顔が明るくなった。
「やった!食べよーぜー」
早速ディーノはお湯を沸かそうとした。
「うわぁっ!!」
「!?」
ゴッというすごい音がして、それからディーノの変な叫び声が聞こえたものだから、雲雀は柄にもなく肩を跳ね上がらせた。
音が聞こえた方を見ると、ヤカンからはみ出す程の量の炎が燃え上がっている。
「……」
「恭弥助けてぇぇぇ!!!」
「……」
「え、何その哀れんだ目!?てかマジでHelp me!!!」
はぁ、と雲雀はため息をひとつ吐いてディーノを押し退けた。
「本ッ当に部下がいないと何も出来ないんだね…というか何処をどうしたらこんなになるの?」
「えぇー…オレは普通に…」
「言い訳はいい。ケーキを皿に用意して」
貴方はなんにも使えなさそうだから、と呟いた。
「…もしケーキもダメにしたら…咬み殺すからね」
ギラッと雲雀の目が殺気立つ。
なんか、マジだこいつ!とディーノは思って、とにかく慎重に慎重にケーキを扱った。