小説
□菊丸の勘違い。
1ページ/1ページ
菊丸の勘違い。
「ふんふんふ〜ん♪さてと!今日も頑張るぞ〜」
テニス部の部室へ、軽い足どりで菊丸は向かう。
「んにゃ?もう誰か来てる…早いなー」
ドアノブに手をかけようとした瞬間、
『ちょ、待って…っ』
『こら、じっとしてて』
…と中から声が聞こえ、菊丸は思わずその手を止めた。
(あり、この声は…)
『ぅ……や、痛いっす……』
『動いたら取れなくっちゃうでしょ…』
(……………何この会話)
『…っ、不二せんぱい……』
『大丈夫、もう少し我慢して?越前』
ドアを隔てた向こう側の会話。
ちょ、オレすんげー入りにくいよーなどと呟きながら菊丸は聞こえてくる不二とリョーマの会話が気になって仕方ない。
何故って。
(おチビのあんな泣きそうな声聞いたことにゃい…!)
からなのでした。
するとそこに、
「あれー?英二せんぱーい?」
桃城がやって来ました。
「…何してんすか?」
「い、いや何もっ」
「?部室入りましょーよ」
え、と一瞬菊丸の顔が固まったが、桃城に変に思われるのも嫌な訳で…。
「う、うん…」
「ちわーっす!」
がちゃり
というよりもバーンという効果音をたてて桃城がドアを開けた。
「…取れたよ、越前」
「てて…あ、どもっス。」
「ちわーす!何してたんスか二人とも〜?」
(ナイス桃っ!!!)
と思いながら、
「そうだにゃ〜何してたの?」
と菊丸も聞く。
あぁ、と不二が笑い、
「越前が目にまつげ入っちゃたっていうからさ」
「自分じゃ取れなかったから不二先輩に取ってもらってたんス」
「…!?それだけ!?」
「?そっスけど…」
(ちょ、なんだぁ〜!そんなことだったのか……)
「英二先輩…?」
「英二」
リョーマの声を遮るように不二が口を開いた。
「んにゃ?」
くるりと菊丸が振り返ると。
「英二〜、今何想像してたのかな?」
いつもの笑顔にキラキラ効果が3割増した不二が。
「……え゛?」
何のことだにゃ?ととぼける菊丸。
(不二に心読まれたぁぁ!!?)
実はこんなことを思っていたり。
(だってだってあの会話は普通じゃないって〜!!)
「英二?」
「うひー!」
何考えてたか知らないけど、と不二が言う。
「…僕はこんなところで英二が考えてるようなことしないよ」
(心読んでるじゃんかぁ!!)
「別に、オレは…」
ふふ、と不二は菊丸の肩にポンと手を置いて
「…英二のエッチ」
「!?」
と囁いて機嫌良く部室をあとにしたのでした。
「ふ…不二のバカァァ!!!」
菊丸負け犬の遠吠え。
END
不二リョと勘違いした菊丸の話でした。
いかがわしい会話をさせたかったんです…/(^Ο^)\←
081220/香夜