小説

□こんなに近くで
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―――こんなモノ、なくなってしまえばいいと思った






空を見上げる。
所々にふわりと雲が泳いでいる。


「…何してるの」



声 に視界を遮られた。



「なんでここにいるの」

「…いいじゃないですか」

「しかも不法侵入だよね」

「ちゃんと校門から入りました」


顔も見ず、言葉を交わす。



「並盛の屋上はいいですね。とても…」


静かで 喧騒の声なんて、聞こえない。


「今授業中だからだよ」

「…恭弥くんは」

「僕は出たいときに出る」

「…そうですか」


らしいな と思う。





空を見上げる。

目を閉じる。



この世界に、二人きりのような気がする




「恭弥くん」


彼との距離は約3メートル。


一歩、踏み出す。




手を 伸ばす。





「……それ以上近づいたら咬み殺すよ」





頬に触れる寸前

彼の手にはいつの間にかトンファー

僕の首筋にひんやりと当たる。









彼との距離は





「…難しいひとですね」





諦めたように笑う





「僕はこの距離でいたい」






静かに手を引く。
同時に、トンファーも外される。






こんなに近くにいるのに


手を伸ばせば


ほら、


こんなにも


君に届きそうなのに






君はそれを許さない


怯えるように


僕を 拒む







…少し離れて、腰を下ろす。




空を見上げる。

遠く、雲が泳いでいく。



はやく

はやく


どこかへ消えて









―――こんなこころなんて


なくなってしまえばいい―――













こんなに近くで


(僕は、どうすることもできないのです)






END


骸雲は悲恋!
よくわかんないけど(←)せつないといいよね!
みたいなノリだけのブツ。

きっとそのうち消します(笑)


081220/香夜




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