読み物の街
□虫縁
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──私は私を助けてくれた大好きな貴方の側に…
虫縁
「行ってきます。」
今、玄関から出てきたのは制服を着た女子中学生。名前はミサキ。
けど…どことなく大人っぽい雰囲気を出しているのは、その冷めた瞳のせいだろう。
けど、昔はそんなではなかった。とても表情豊かな
…それこそ年相応の子供だった。
「…どこに行ったの?」
彼女は低く呻いた。
これは毎朝の事だ。
彼女は1年前から探しているものがあった。
───それは偶然行った森で蜘蛛の巣にかかっていた蒼い蝶。彼女はその蝶を助けた。
(…しんだ…の?)
手のひらに乗せて、じっと見てみた。
幸い、蜘蛛は居なかったし、蝶に絡んでいた糸もすべて取り払った。
(あ、…いきてる。)
わずかに蒼い蝶が動いた。
そして、その後…
彼女はその蝶を飼った。
しかし、
ちょうど1年後…
その蒼い蝶が消えた。