ヴァンパイア騎士

□きみにしか聞こえない
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「莉磨、ここにいたんだ。何してるの?」




ここは支葵の寝室。
支葵のベッドの上には莉磨。




「…別に何もしてないけど。」

「ふ〜ん。あー俺のお菓子食べてる。」

「大量にあるんだから問題ないでしょ。」




莉磨は支葵の方を見向きもせず雑誌をパラパラとめくる。
支葵もそれを特に気にすることもなく、莉磨の横に腰掛ける。




〜♪




しばらくして支葵が歌い出す。
歌詞も何もなく、ただ気まぐれに。
そして莉磨に変化が起きる。
肩を震わせながら、支葵の手を強く握る。
支葵の手は莉磨に触れるか触れないかの距離に置いてあった。




莉磨が落ち着いたところで歌うのを止める。




「また何か言われたの?」

「..グスッ。…うるさい。何もないって。」

「ふーん。」





―知ってるんだよ。莉磨がたまにモデル仲間にツラく当たられること。莉磨のことだから仕事に真面目だから中途半端なことが許せないんだろうね。莉磨は意地っ張りだから人に弱さなんて見せない。だから泣けないんだ。でも知ってる。俺が歌えば君は泣いてくれる。



―俺しか知らない、聞こえない。




―支葵って意外と鋭いんだよね。周りを見てる。まぁ私も単純なんだけど。泣きたくなったら支葵のとこに行く。支葵は気付いてるから。普段歌なんて歌わないのにね。でもあなたが歌ってくれるから私は素直に泣くことができる。




―きみにしか聞こえない。




END
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