07/29の日記

23:02
2week/6
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今日は生憎の天気模様だ。
降りしきる雨が、腐朽した天井の隙間から雨滴を滴らせている。
昨日、甘味屋で発見した総悟を屯所に引きずり戻してからは、近藤さんの厳命でろくに仕事をさせて貰えなかった。
当然ながら丸二日分溜まった書類が室内に埋めつくされているが、これからとっつぁんに付き添って上役の接待に向かわなければならない。
惨状を目にして、まだ手をつけられないなど。
怖くて部屋を振り返れない。

昨夜見た夢は気がかりではある。けれど俺は起床と共に即座に真選組の副長として気持ちを改めさせ、余計な思惟は追い払うことにした。
そして屯所を出る前に、先日約束を取り付けた請負人に釘をさしておく。

「あー、随分と派手に降ってやがんなぁ」
「……オイ。雨天決行だからな」
「土方君。キミは雨ん中屋根工事する大工見たことありますか」
「じゃあ何で来やがったんだ。雨天中止のつもりでいたなら、別の日に来りゃ良かっただろーが」
「しょーがねーだろ。昨日ガキどもに『明日こそ給料を払う』って宣言しちまったんだから」

こいつ……あいつ等にまともに給料も払ってなかったのか。
流石に、ガキ共に同情せざるを得ない。

「とにかく雨漏りを止めればいいんだろ?」

そう言って工具箱の中からガムテープを取り出した野郎に、俺のコメカミがふつりと青筋を作る。
手抜きなんて真似をした暁には、一切の報酬を拒否してやろう。

「あー、ヤッベ。すぐ剥がれて……、って、オメーこの雨ん中出かけんの?」
「…テメェにゃ関係ねェ」
「お偉方の接待ですよ。局長副長のツートップ出席で。そろそろお迎えが来るはずなんですが」
「山崎…ッ、テメー何勝手に教えてんだ」
「別に秘密事項でもないじゃないですか」

俺が留守の間、万事屋の野郎の監視役として呼んだ山崎が、ミントンのラケットを片手に雨空を眺めて溜め息をつく。
どう見ても、俺がいない間に遊びほうけるつもりでいた装いだ。
最早隠す気もない山崎の態度に、俺は玄関に向かいがてら蹴りを食らわせる。

(あ…?そういや…)

何で万事屋は屯所が雨漏りをしている事を知っているのか。
ほんの小さな疑問が沸いたが、門戸の前に停まったらしい車のブレーキ音に、すぐに些末な問題を思考から切り離した。
どうせ、総悟や山崎が喋ったのだろう。



それよりも……これからの身の振り方、だ。

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