連載物

□忙しさの日常4
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「…ファルマーン…」

疲れきった声のハボックがファルマンを呼んだ。

「何ですか」

ハボックの方を向かずに書類を書きながら答えた。

「…これ、いつになったら終わるんだ?」

「…奇遇だな、ハボック。私も気になっていた」

「…俺もです。」

「私が知るはずないじゃないですか。」

ファルマン苦笑いで言った。

三人は深い溜息をついた。

「コーヒーを入れて休憩にしましょうか」

「うむ。名案だ、ファルマン」
「よっしゃ!さすがファルマン!」

休憩と言った瞬間、水を得た魚のようにハボックとマスタングが生き生きとした。
ブレダは心配したように、こっそりファルマンに耳打ちした。

「…大丈夫なのか?」

「まぁ、期限と中尉達が帰ってくるまでの間に終わることを守ればいいので。…それに…」

マスタングとハボックの方を見ながら話していたファルマンがブレダに視線を戻した。

「…この方がやる気が出ると思いまして」

ファルマンはそう言うと柔らかく微笑んだ。
この瞬間ブレダはファルマンには敵わないと小さく呟いた。

「…あぁ、そうだな」

ブレダはそう言いながらすっかりのんびりしている二人を見た。

「…お前さ…」

ファルマンは、この中では一番地位は低いが歳は一番上で考えも一番大人だ。
それはどう頑張っても無理なことでブレダ達からすれば真似出来ない事なのだ。

「…母ちゃんみたいだな」
「…えっ!?何故ですかっ!」

「どうかしたか?ファルマン」
「ファルマン、コーヒーはまだか?」

あまりにも予想外の返事で声が大きくなってしまい、二人にも聞こえてしまった。

「…いえ、何も無いです、…コーヒーですね」
「くくくっ…」
「笑わないで下さいっ!!」

ファルマンは少し落ち込みながらコーヒーを入れに部屋を出た。

腹を抱えて笑っているブレダと頭の上に疑問符を浮かべている二人を残して。




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