小説置場
□別れの約束
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「それじゃあ、…ここでお別れですね…」
「ああ」
ファルマンとフュリーは向かい合って別れようとしていた。
「今まで色々とお世話になりました…ありがとうございました…」
「ああ」
二人は握手をしてフュリーが手を離そうとしたその時、ファルマンが自分の方へ手を引っ張った。
「っ!…え…?」
「………」
ファルマンはフュリーを抱きしめた。
とても優しく。
少し低い体温で。
そして静かにフュリーに問いかけた。
「…大佐の部下になるとき…一つだけ約束をした…覚えいるか?」
「…はい」
突然のことで驚いたがファルマンの優しさに安心して答えた。
「生きろ」
「…はい」
フュリーからはファルマンの顔は見えないが表情を見たような気がした。
「…ケイン」
ファルマンはゆっくり体を離した。
「ケイン…絶対に死ぬなよ…」
ファルマンはフュリーの両肩に手をおいて目を見て言った。
「…ヴァトー…」
フュリーは泣きながらファルマンの名前を呼んだ。
「ヴァトーもね…死んじゃヤダよ…」
「ああ。…約束する…絶対にな」
自分に言い聞かせるように強くそう言ってファルマンは悲しく笑った。
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