スモエー部屋2

□春告草
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それを聞いて、言わんとする事はすぐに分かった。

原因は朝の一件。


冷蔵庫を開ける度目に入る、いい加減うんざりする程並ぶ色とりどりのヨーグルトについて苦言を呈したのが始まりだった。

毎日毎日新作が出ただのレア物を発見しただのコンビニやらスーパーやらで見つけて買って来るヨーグルト達。
買って来るのはいいが、オレからして見ればどれも似たような物ばかり。
違いがわからん上、毎回食いすぎて腹が痛いと喚き出すのが分かっているのに何で買って来るんだと言ってしまった事から険悪な空気になった。
きっとそれをまだ引きずっているんだろう。



「…怒ってるんだぞ。」



未だふすまの隙間からジッとこっちを睨む瞳にやれやれと額を抑える。


「…わかったι悪かった。」


いい加減折れてそう言うと、開かずのふすまがスパンと開いた。


「最初っからそう言えばいいじゃんか!!バカスモーカー!」

「ああ…悪かった。好きなだけ食っていい。もう何も言わん。」


ネクタイを取りながら棒読みで言うと、パジャマ姿のボサボサ髪が嬉々として喜んだ。


「わかればいいんだよ、わかれば!」


オレからヨーグルトを取ったらプリンしか残らないんだよ等と訳のわからない事をいいながらテーブルにつくエースを横目に、Yシャツの第一ボタンを外した。


「…で、コレは一体何なんだ。」


テーブルの上を顎で指し、どう言う事か説明を促す。


「こんな時間に茶でも飲むのか。」


だいたい花まで挿して、花見のつもりだろうか。



「…わかんねえ?」



途端にシュンとなった声にちょっと驚いた。


「な、何がだι」


梅の花、アーモンドチョコレート、ティーカップ。連想出来る物は花見以外無い。


「花見か。」

「Σ違うよ!!」


言った途端物凄い剣幕で否定された。もう詰んだ。1秒で詰むとは思わなかった。

これ以上の連想は無理だ。普通の人間なら花見かティータイムだと答えるはずだが、どうやら目の前で怒っている男は違う答えを持っているらしい。


「じゃあ、何だ。」


袖のカフスを外しながら聞くと、膨れっ面がそっぽを向いた。


「…今日は何の日?」

「今日?3月の…13日か?…わからん。」


言った瞬間、膨れっ面がバッと振り返った。


「Σ鈍感!!もう12時回ってんだろ!!あんたの誕生日だよ!!」



キーッと怒る声で、やっと初めてその事実に気が付いた。


「ああ……もうそんな時間か。」

「Σ時間はどーでもいーんだよバカ!!ι」


全く呆れたモンだこのオッサンはとブチブチ嘆くエースを無視し、とりあえず自分もテーブルについた。


「…で、それはいいがコレは何なんだ。」


怒鳴られた上にオッサン呼ばわりもされたが、未だ意味が解らないテーブルの上に並ぶ三つの品。

自分の誕生日だと言う事は分かった。しかしこの三つとそれにどんな関係があるのだろう。




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