スモエー部屋2

□想
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「げ、元気だったよ…//あんたは?」


思わぬ優しい扱いに思わずうわずってしまう声を抑え、目をそらす。


「お陰様で、心身共に疲れている。」


どっかのバカが食料庫を荒らしてくれたもんだから、顛末書と始末書が一気に来るだろうと告げる顔は内容の割には穏やかで。

てっきりつまみ出されるだろうと思っていたので、ひとまずホッと安心した。


「ああ…悪かったよιまあでも…疲れてんだったら…んっッ!」


寝なよ、と言いかけた所で言葉は唇に優しく遮られた。



「む…ッ…ん…///」


数ヶ月ぶりのキス。
いとも簡単にするりと差し込まれた舌は相変わらず渋い葉巻の味がした。

舌先を丸く舐め、上顎をツゥ、となぞり、下唇にチュ、と軽く吸い付いた後、名残惜しそうに離される。


「…これで大分疲れが取れた。」


たった1回のキスで腑抜けになってしまった身体はそのまま広い胸板にギュッと抱きしめられる。


「エロオヤジ…///」


大きな手のひらでポンポンと頭を撫でられながら腕の中で悔し紛れの言葉を捻り出すと、ふいに耳元で低い声が囁いた。


「…逢いたかった。」


「…な……っ!!///」


艶のある重い声に、思わず心臓が大きく跳ねる。


「…しかし何ヶ月ぶりだ?」


こうしてゆっくり逢うのはずいぶん久しぶりだと呟くスモーカー。


「さ、さぁ…///2、3ヶ月くらいじゃないの…?//」

「そんなもんか。」


2年くらい経ったような気がしたがと続いた言葉に、ちょっとだけ口元が緩んでしまうのを感じた。


「…そんなもん、だよ…///」


恐る恐る太い首に腕を回し、久しぶりに恋人の匂いを深く吸い込む。

最初は煙クサイと嫌がっていたこの匂いも、今では精神安定剤のようで。苦手だった波打つ心臓の鼓動も、今では子守唄並に眠りへと誘われるほど安心する物になっていた。


(…ヤバ…気持ち良い…///)


抱き付いているだけで溶けてしまいそうになっている身体は、そのままゆっくりとベッドに押し倒された。


「なあ…昼間っからこんなコトしてて、いいの?ι」

「…嫌か?」


少し驚いたような顔で返され、んなワケないとばかりに頭を振る。


「…出来るだけ、優しくしてよ。」


いつも激しすぎるから後が困るんだぜと上から見下ろす顔に精一杯の強がりを告げると、スモーカーは参ったと言う様に頭を掻いた。


「努力は…する。」


そんな余裕は無いかもしれんと珍しく弱音を吐く姿に、思わずクスリと笑った。


「…嘘。激しくしても大丈夫だって。オレ、丈夫だし。」


それしか取り柄がねぇけどと笑うと、スモーカーは額に優しいキスを落とし、至極真面目な顔で呟いた。


「…だが、愛は込めてやる。」


あの“白猟”と恐れられている男の口から“愛”と言う言葉が出るなんて。

海軍の人間が聞いたらひっくり返りそうな物だけど。


ジャケットを脱ぐ姿を見つめ、小さく呟く。


「じゃあ…さ、次いつ逢えるか分かんねぇから、この先2年分…ン…ッ」


そっと塞がれた唇に途切れた言葉。


次に逢えるのはいつになるのかなんて、今は考えないでいよう。

ただ今だけは、この温かいぬくもりを記憶したいから。





「…ん……アッ…//」



吐息で充たされる部屋の中。

この部屋の主が他の誰にも見せないであろう幸せそうな姿を、天井の木目だけが静かに見つめていた。






「…これでもまだ、アンラッキーか?」


「ア…ッ…ん…っなワケな…い…アッ…///」







END
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