IF…

□志望動機
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『ただいまー』




家のドアを開くと、リビングの方から母さんの「お帰りー」と言う声が聞こえる

履き慣れない革靴を早く脱ぎたくて、視線を玄関に向けると、そこには乱暴に脱がれた革靴があった

大きさからして大輝の物だ





『せっかくの新品の革靴を…』




その革靴を綺麗に揃え、端へと避けると、自分の革靴も並べるように脱いだ




「遅かったわねぇ」

『うん、仮入部届け出してきた』

「そう。学校どうだった?」

『…注目浴びた』

「でしょうね。そうそう、お腹空いてるでしょ?どーする?お昼食べる?」





確かに腹は空腹を訴えている

しかし、時刻は3時過ぎ

お昼にしては遅すぎる

今ガッツリ食べたら夕飯が食べれなくなってしまいそうだ





『んー…じゃあ、パンでも食べようかな。ちょっと小さめのパンある?』

「あるわよ」





そんな話をしていると、大きな寝息が聞こえた

その方を見ると、そこにはソファで大口を開けながら、だらしなく寝ている大輝がいた

大口を開けながら寝ている人を見ると、口に飴玉を放り込みたくなるのはオレだけだろうか…





「帰って来てから、ずっとそんなんよ」





大輝の寝顔に呆れていると、母さんがパンを渡しながら、そう言った





「制服がシワになるからって、何度も起こそうとしたんだけど、全然聞かなくって…」

『はぁ…』





シワの付いた制服を明日も着せて行かせるのは、青峰家としては恥だ

だから、飴玉の代わりに大輝の顔面に平手をお見舞いしてやった





「いってっ!!!!」





そうすれば、大輝は一発で起きた





『おはよう』

「いってぇなぁ!!何すんだよ!?」

『何って、制服がシワになるから起こしてあげたんだけど?』

「もっと他にも起こし方があんだろ!!」

『生易しくしてたら、お前起きないだろ』





相当痛かったのか、大輝の目は少し潤んでいた





『ほら、さっさと制服脱いでこい』




痛みを少しでも和らげようと、赤く染まった顔を擦りながら部屋へ行く大輝

それを確認するように見送ると、母さんから受け取ったパンをテーブルの上に置き、オレも制服を脱ぐために部屋へ向かった
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