IF…

□入学
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「それから、在校生が外で部活の勧誘をしている。そこで入部を決めるもヨシ、話を聞くだけもヨシだ」





担任が教室を出ると、みんな荷物をまとめ始めた





「遥輝」

『ん?』




荷物をまとめていると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた

朝岡だ




「遥輝はもう部活決めてるの?」

『一応な』

「どこに…」

「遥輝ー!」




朝岡と話をしていると、隣のクラスである颯太が割って入って来た





『うるせーなぁ。もっと静かに入って来れねーのかよ』

「いーじゃん?気にしてる奴なんていないし」





クラスは颯太の大声をものともしないほど、騒がしくなっていた





「何?もう朝岡と仲良くなったの?」

『朝岡知ってんの?』

「部活で何回か対戦したくらいだけどな」




颯太は中学時代、バレー部に所属してた

と言うことは、朝岡もバレー部か





「朝岡強ぇんだぜ?だから、もっと強豪校に行くと思ってたんだけどな」

「ここは家からも近いからね。遥輝達は同中?」

「そっ!コイツ、男みてーだろ?」

「あはは…」




朝岡は悪いと思ったのか、笑ってにごした




『んで?何の用だよ』

「あ、そうそう!お前、今日両親来てる?」

『いや、来てねーよ?』

「オレん家も来てねーんだ。だから一緒に帰ろーぜ?」




コイツはそれだけのために来たのか

メールでもよかったのに





「親御さん来てないの?」

「ああ、ウチは両親共仕事だし」

『ウチは大輝の方に行ってるしな』

「大輝?」

「コイツの双子の弟だよ。マジそっくりだぜ?」





なぜか俺の代わりに颯太が代弁した

まあ、小学校から一緒だから、颯太も大輝のことを知らなくはないしな





「コイツが男みてーなのも、そのせいなんだ。小さい時から同じような格好してたせいか男みてーになったんだよ」

「そうだったんだ」




朝岡は颯太の言葉を聞いて納得したようだった





「なら、オレも一緒に帰ってもいいかな?」

「たしか朝岡は○○中学だったよな。なら方向一緒だな」

『なんでもいーから、入部届けだして帰ろーぜ』

「そうだな」

「そう言えば、遥輝は何部に入るの?」

「遥輝はバスケ部だよ」

『だから、何でさっきから颯太が答えるんだよ』

「え?なんとなく?」




担任の言う通り、昇降口の外では在校生達が部活の勧誘をしていた

新設校で部員が少ないせいなのか、在校生達は新入部員の捕獲に必死だ





「男子バレー部と女子バスケ部はどこだろーな」

「男子バレー部はあっちみたいだ」

「女子バスケ部は…」

『女子じゃなくて男子だ』

「「は?」」




キョロキョロと各部活のブースを探していた二人が驚くように俺の方を見た




『高校では選手じゃなくてマネージャーをするつもりだ』

「えっ!?あんなに上手かったのに!?もったいねーって!」

『もう決めてるんだ』

「ケガでもあるの?」

『いや、至って健全だ』

「なら何で?しかも男子って…」

「…もしかして…大輝?」

『まあな…』




大輝の豹変振りは同じ小学校出身者の男子バスケ部の部員から広まった




“大輝が冷たくなった”




小学生の頃はバカみたいに騒いで、頭が悪くて、バスケ一本だった大輝が声をかけても素っ気なくなってしまったと…

それが、いつの間にか他の部活の奴らにも伝わった

だから、それを知っている颯太は察してくれたようだった




「なら、男子バスケ部はあっちのブースだ。校門で待ち合わせな」

『わかった』
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