FIGHT!!(BASKET BOLL)
□和解
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そして、時は戻る
オレは辰馬と数人の高校生の前に立っている
『今まで悪かったと思ってる…』
「何を今さら」
『本当、今さらだよな…』
あれだけ親友だと言っておきながら、辰馬の支えになってやれなかった
辰馬を避けてしまっていた
オレは辰馬が更生してバスケ部に戻ってくるだろうと信じていただけで、何もしなかった
オレが辰馬の話をちゃんと聞いていれば…
オレが辰馬を引き止めていたら違った今があったかもしれない
『なぁ、辰馬。今からでも遅くない!こんなこと止めて一緒にバスケしようぜ!?』
「…本当今さらだよな。もう遅ぇんだよ!オレはもう戻れねぇ!!」
『遅くなんかねぇよ!まだ間に合う!!』
オレの言葉に辰馬の目が揺らいだ
あと一押しすれば、まだ間に合うかもしれない
『辰馬!戻って…』
そう辰馬に言いかけたところで、頬に激痛を感じた
突然のことに体は倒れ、頭もついていかなかったけど、冷静になってみると、高校生に殴られたんだと分かった
「ゴチャゴチャうるせーなぁ。辰馬は戻らねぇって言ってんだろ」
『…アンタらは黙ってろよ』
「あ゛?」
高校生の睨む目に、一瞬ひるんだが、これはオレと辰馬の問題だ
「黙るのはオメェだよ!!」
殴ってきた高校生に気を取られていると、反対側から別の高校生に殴られた
「ちょっ!先輩っ!!」
「なんだよ、辰馬。お前がオレ達を呼んだんだぜ?ぶっ飛ばしてもらいてぇ相手がいるって」
「そうだけど…」
「なら問題ねぇだろ」
高校生達は代わる代わるにオレを起こしては殴り蹴るなどの行為を続けた
『(…さすが高校生だ。ケンカ慣れしてるし、そもそもの力が違ぇ…マコと帰らなくて正解だったな…)』
何発殴られ蹴られただろうか
痛みに耐え切れず意識が朦朧とし始めた
「何してんだっ!!」
必死に堪えてきたが、もう諦め、意識を手放そうとした時、遠くから声が聞こえた
『か、火神…さん…くろ、こ…さん…』
声のした方に目を向けると、そこには火神さんと黒子さんが立っていた
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけねーだろ」
二人は倒れているオレに寄ってきてくれた
「何だよ、オメェら」
「あん?コイツの知り合いだよ」
「た、たかが知り合いごときが出しゃばってくんじゃねぇよ!」
「そーゆーわけにもいかねぇよ!コイツのアニキには世話になってるしな!」
高校生達は自分達よりも背が高く、ガタイのいい火神さんに、少しひるんでいる
「警察でも呼びましょうか?確か、ここから交番までは近かったですよね?この光景を見れば警察だってどちらが悪いか分かるでしょう」
「な…!!」
黒子さんがそう言ってケータイを取り出すと、高校生達は辰馬を置き去りにして、公園から出て行った
「何だよ。ケータイと警察をチラつかせただけで逃げやがって」
「それより火神君。タオルを冷やして来てくれませんか?」
「おう」
「翔平君。起きれますか?」
黒子さんの手を借りて、体を起こすと辰馬と目が合った
「ホラよ」
『ありがとうございます』
「ずいぶんとハデにやられたな。主将呼ぶか?」
『いえ、大丈夫です』
火神さんから冷たく濡れたタオルを受け取ると、熱を帯びた頬に当てた
「キミが辰馬君ですか?」
「え?」
「主将と伊月先輩が話しているのを聞いてしまったことがあるんです」
「……」
「キミが高校生達を呼んだんですか?」
「……」
黒子さんの表情は変わらないが、確実に怒っているであろうオーラに辰馬は言葉を発しない
「主将達の話を聞いただけなので、キミがどんな人物かはわかりませんし、キミと翔平君の間に何が合ったかは知りませんが、さすがにこれはないでしょう」
「翔平をこんなにして、お前は満足か?」
『黒子さん、火神さん…ありがとうございます。けど、辰馬がこうなってしまったのはオレのせいでもあるんです』
「違う!!」
暗くなった夜の静かな公園に、辰馬の声が響いた