FIGHT!!(BASKET BOLL)

□誠凛高校
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「ただいまー」




夕飯を食べ終わり、リビングのテレビを占領してゲームをしているとオレの兄貴こと日向順平が帰って来た




『おかえりー』

「またゲームしてやがんのか…」

『なんか文句ある?』

「受験生だろ…」




確かにオレは中3だ

来年には受験が迫っている

けど、今はまだ4月

新学期も始まったばかりだ

まだ焦らなくても大丈夫だろ

それに…





『アニキでも行ける学校あんだし、大丈夫じゃね?』




当時のアニキの成績よりはオレの方が勝っている

そう言うと、アニキは何も言えなくなったのか黙ってテーブルの上に用意されている夕飯に手を付けた





「母さんと父さんは?」

『母さんは町内の集会。父さんは残業だって』

「ふーん」





つまりオレはアニキが帰って来るまで一人だった

一人ともなれば、いろいろと自由が利く

けど、そんな一人の時間に浸っていると、それを潰すようにアニキが帰って来たワケだ





「翔平」

『なに?』





よって、オレの機嫌は少し悪い




「最近部活どうだ?」




あたかも、しばらく合っていなかったような言い方だ





『別にフツーだよ』





オレはアニキの後を追うようにミニバスに入り、小2でバスケを始めた

当然、中学もバスケ部に入部した





「なんだよ、フツーって…」

『フツーはフツーだよ。強くもなきゃ弱くもない。つまり、フツー』




アニキが卒業し、俺が在籍する中学は言わば中堅校

オレも含め、何人かミニバス出身者がいる

オレが所属していたミニバス出身者が数名と、他のミニバス出身者が数名

だが、どちらのミニバスも中堅チーム

だから、中学も中堅校

二つ合わさったからといって強豪校にはならなかった





「去年で“キセキの世代”はいなくなったんだ。お前達も頑張れば…」

『ムリムリ。そもそも勝つ気がねーもん』

「ねーもんって…」




アニキや伊月先輩がいた頃は、それでも中堅校なりに覇気があった

しかし、アニキ達が引退すると一学年上の先輩達からは覇気が感じられなくなった

何しろ、ミニバス出身者が少なかった世代だ

アニキ達がいたから、それでも真面目に部活に励んでいたんだろうが、先輩達は元々やる気はなかったんだ

アニキ達が引退した途端に部活のメニューはより軽くなり、活動時間も極端に短くなった

そんな甘いミツを吸いまくってしまったオレ達の代も、その行為は続いた





「お前、主将だっけ?」

『一応ね…』

「お前な…主将なら主将らしく…!」




アニキは夕飯を食べつつ、オレへと説教をしてきた

説教をし始めると長いんだよな…




「聞いてんのか!?」

『聞いてるよ!』




と、言いつつも手元のコントローラーの操作は止めない





『(つーか、アニキが言える立場かよ…)』





今でこそ誠凛の主将として、去年新設校にも関わらず新人戦で関東大会に出場するなどの功績を上げた

だが、全中予選ではアッサリと敗北

帝光中の存在に思い知らされ、バスケから離れたアニキは何を思ったのかキンパツにするなど弟のオレが呆れるほどのモノだった




「…だから主将って存在はだなぁ…」

『ハイハイ。スゴイデスネー』

「オイ!人の話は最後まで…」

『じゃ、オレ風呂行くから』

「待て、翔平!」
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