HIKARI 短編集

□青峰大輝の新たな一面
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本編には書かなかった完全オリジナルです




降旗side




誠凛対海常戦も残すは、後この第4Qのみ

ここからは、遥輝が出場する

が…




「なぁ…何か、遥輝の顔…青くないか…?」

「言われてみれば…たしかに…」




作戦会議をしている選手達の後ろに立っていると、河原と福田が青い顔をした遥輝の心配をしていた

たしかに言われてみれば、そんな気も…




「体調悪いのかなぁ?さっきまでそんな感じしなかったけど…」

「そんなんで出て大丈夫かぁ?」

『あ!そー言えば!』

「「?」」




作戦会議を真剣に行っている選手達にオレの声は聞こえなかったようだが、二人には聞こえたらしい




「おい、降旗?」

「どこ行くんだ!?」




オレは慌ててベンチ横の荷物置き場に急ぎ、支度をした




「…何してんの?」

「つーか、どーしたんだよ、ソレ」

『まぁ、見てろって』




オレは用意を済ませると、青い顔をしている遥輝の首にソレを当てた





「うわっ!?」




驚いたの遥輝の声に、みんな驚いた




「え?降旗君?何してるの?」

『えっと…』

「あ、コレ…あったけぇ…」

「「「え?」」」




遥輝の言葉にさらに驚いた先輩達は、遥輝の首に置かれたソレを触った




「あ、ホントだ」

「あったけぇ」

「蒸しタオル?」




そう。オレが遥輝の首に置いたのは蒸しタオルだ




「え?降旗…これ…どーして…」

『それは…』




それはついさっきのこと

オレは第3Qの終盤で、突然の腹痛に襲われた

カントクに一言伝えた後トイレに向かい、帰る途中で声をかけられた




「おい」

『ん?…えっ!?』




そこにいたのは…



『あ、青峰…!』

「あ゛?」

『さん!!』



遥輝の双子の弟で、桐皇学園の青峰大輝だった





「何ビビってんだ、お前」

『(いや、アンタがビビらせたんだろ!?)』

「まぁ、いい。ホラよ」

『へ!?』




青峰はオレに向けて何かを投げてきた




「落とすなよ」

『(じゃあ、投げんな!!)』




そんなツッコミをしつつも、投げられたソレを受け止めた

意外にも、投げられたソレは小さい割りにズッシリとしていたが、落とすと何をされるか考えたくないので、必死に受け止めた




『水筒?』




受け止めたソレを見ると、オレの腕には水筒が置かれていた




「そん中に熱湯が入ってる」

『熱湯っ!?』



熱湯って何でだよ!?

そして、なぜオレにそんなモンを渡す!?




「それで、タオルを温めて遥輝の首元に置いてやれ」

『遥輝…?』

「アイツ、意外とあがり性でよ。大概決まって大切な試合の前になると緊張して、腹痛やら吐き気を訴える。まぁ、試合が始まれば次第に落ち着くが、しばらくは不調のままだ。だから、温めたタオルを首元に置いてやると少しは落ち着いて、試合がスムーズに進む」

『それで熱湯…』

「じゃあ、渡したからな」




そう言って青峰は去っていった




『…と、言うわけなんです』

「実は私も少し気になってたのよ。遥輝の顔が青いこと…」

「けど、少し落ち着いてきたみたいだな」

「はい。お陰さまで…」




蒸しタオルを置いたことで緊張が少しやわらいだのか、遥輝の顔に血の気が戻ってきた



「青峰に感謝だな」

「後で礼を言っておかねーとな」




おかげで、遥輝はスタートから好調

そのおかげで、試合には勝利した

これは、青峰のおかげでもあると言っても過言じゃないのかもしれない




『(にしても、あの青峰が遥輝のために、そんなことするなんてな…)』




オレの青峰に対する印象が変わった今日この頃だった




end
 

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