HIKARI 短編集

□オフ日
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今日は珍しく部活がオフだ

だが、突然渡されたオフなだけに何をしていいかわからない




『(帰って寝溜め…は、もったいねーよなぁ)』



せっかくのオフなんだ

ただただ寝るだけじゃもったいない気がする

何をしようか考えながら帰り支度を進めていると、火神があたかも自分の教室かのように入って来た




「今日、何か用事あるか?」

『いや、ねーけど?』

「じゃあ、付き合ってくんね?」



特に用事もないし、しょーがねぇ

火神に付き合ってやるか




『で?どこ行くんだ?』

「スポーツショップ。休みの時に色々買っておこうと思ってよ」




俺たちの休みは正直少ない

いつも少ない時間の合間を縫って必要な物だけ買って帰る

だから、あまりゆっくり見て回ることはなかった




『そーだな。俺も色々見ておきてーしな』

「じゃあ、行こーぜ」

『そうだな』




そして俺たちは電車で数駅離れた場所にある大型スポーツショップへ向かった

大型と言うだけあって、品揃えはいい

いつも行ってるスポーツショップとは大違いだ




『けど、逆に品揃えが良すぎて迷うな…』



今俺がいるのはバッシュ売り場だ

色んなメーカーのバッシュがこれでもかと言うほど置かれている

色やデザイン、形はもちろん、メーカーによって重視する機能性は様々だ



「バッシュ買うのか?」

『ん?ああ。予備がもう一足欲しいと思ってさ』



バッシュは消耗品だ

いつ、どの場面で壊れるかわからない

だから、予備があるに越したことはない

だが、値段的にもそうホイホイ買える物でもないし、デザインや形だけで選べるような物でもない

ちゃんと時間をかけて慎重に選ばないと足にかかる負担やプレイに支障が出る

だからそこ、今日みたいに時間に余裕がある時に買っておきたい



「今このメーカー使ってるんだけっけ?」

『ああ、そう』

「じゃあ、またこのメーカーにすんのか?」

『んー…けど、こっちのメーカーのデザインもいいんだよな…』




何度も試着を繰り返し、やっと自分の足にフィットし、なおかつデザインも気にいる物を見つけた




『うん!コイツにしよう』




支払いを済ませるが、バスケット用品コーナーに火神の姿がない

広い店内をグルグルと回っていると、数分かかってやっと火神を見つけた




『…野球に転向すんのか?』




火神がいた所は野球コーナー

そして、バットを手に取り眺めていた




「んなワケねーだろ」

『じゃあ、それで“キセキの世代”をヤろうってか?』

「そんなコトもしねーよ!!」

『じゃ、何してんだよ』

「いや、バットって言っても色んな種類があんだなーって」




バスケ一本な俺達は、スポーツショップに来ても真っ直ぐにバスケコーナーに向かい、必要な物を買ったらすぐに店を出てしまうため、あまり他のスポーツのコーナーを見ることがなかった

そのためか、ちょっと楽しい




『で?お前はお目当ての物買えたのか?』

「一応な」




そう言って火神は購入済みの袋を見せてきた




『じゃあ、帰るか』

「そうだな」




店を出ると辺りは茜色に染まっていた

そして、火神と夕食を共にすると、俺達のオフは終わった
 

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