HIKARI(BASKETBOLL)

□誠凛VS海常 3
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黒子が黄瀬のマークに付くと、海常側はザワつき始めた

そりゃそうだ

誰もこんな展開になると予測しなかっただろう

今まで誰のマークに付くこともしないで、存在を消してパスしかしてなっかたヤツが、いきなり黄瀬のマークなんて考えもしなっかただろうさ

現に海常サンの目が見開いてる




「黒子っちにオレを止めるのはムリっスよ!!」



当然の如くあっさり黄瀬に抜かれると、待ってました!と言わんばかりに瞬時に火神がカバーに入った



「違うね、止めるんじゃなくて…」

『獲るんだよ!!』



黒子は火神のヘルプでひるんだ一瞬を狙って黄瀬の背後からバックチップでボールを弾いた



「オマエがどんなすげぇ技返してこようが関係ねぇ…抜かせるのが目的なんだからな!」



パスを受け取った俺は見せつけるようにシュートを決めた

同じ一年なのにアイツらばっかり目立ってるからな…

おいしいとこを根こそぎ奪ってかれるのはシャクだ



「…やっかいだな、クソ…ダブルチームの方がまだマシだぞ」

「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないスか!誰も言ってないスよ、3Pがないなんて!」



シュートモーションに入った黄瀬の手からボールが離れた隙を狙った火神が上から叩き、ボールを前を走っている俺へ向けて投げた



速攻!



流れはウチに来てる!ここで止めるワケにはいかない!



ムキになった黄瀬は俺を止めるため走り出すが、そこで事故は起きた




周りが見えなくなった黄瀬の手が黒子に当たってしまったのだ



火神からのパスを受け取ろうとした時、その瞬間が目に入った

黒子はその場に倒れこみ、審判の笛が鳴る



『黒子っ!!』



ボールを投げ捨て黒子に駆け寄ると、額から血が流れていた

黄瀬の爪に引っかかれたのか…



『大丈夫か?』

「フラフラします…」



だろうな…

頭からの出血はキズのわりに多いと聞いたことがある



「おい…大丈夫かよ!?」

「大丈夫です…まだまだ試合はこれからで…しょう…」



と、言いつつも再び倒れる黒子



『とりあえず、一度ベンチに戻るぞ!ほら、つかまれ』



黒子をベンチに運ぶとカントクが応急処置を施していく



「黒子君はもう出せないわ…残りのメンバーでやれることをやるしかないでしょ!
OFは二年生主体でいこう!
まだ第2Qだけど離されるわけにはいかないわ!早いけど”勝負所”よ、日向君!
黄瀬君には返されるから火神君OF禁止!
青峰君も膝のことがあるからOF気を付けて火神君と一緒にDFに専念して!
全神経注いで黄瀬君の得点を少しでも抑えて!」

「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」

「大丈夫だって、ちょっとは信じろ!」

「でも…」



火神としてはOFに参加させてもらえないのが気に食わないんだろうな…

けどさ、なんだろ…

俺の横に立ってる主将から黒いオーラが漂ってる…

ここは離れた方がいいな、うん…



「大丈夫だっつってんだろダアホ!たまにはちゃんと先輩の言うこと聞けや、殺すぞ!」



表情こそ笑顔のままだが、今までの主将からは考えられないほど言ってることが黒い…

俺と火神は二度と主将の逆鱗には触れてはならないと学んだ



「ったく、今時の一年はどいつもこいつも…もっと敬え!センパイを!そしてひれふせ!」

「スイッチ入って本音漏れてるよ主将!」



怒りの治まらない主将は次々に怒りの言葉を並べていくとコートに戻って行った

その光景に俺は火神と互いに見つめるだけだった



「あー、気にすんな!クラッチタイムはあーなんの」

『クラッチタイム…』

「とりあえず本音出てる間はシュートそうそう落とさないから、OFは任せてオマエらはDF死にものぐるいでいけ」



伊月先輩の言葉に小さく頷くと海常の選手にスクリーンをかけに行くと主将をフリーにさせた

フリーになった主将に伊月先輩からのパスが渡ると主将はゴールに向けてシュートを放つ

そのボールは綺麗な弧を描いて吸い込まれるように決まった



「あいにくウチは一人残らず…諦め悪いのよ」
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