HIKARI(BASKETBOLL)

□それから…
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ジリジリと枕元で起床時刻を知らせる携帯のアラームを乱暴に止め、大きく伸びをすると、カーテンの隙間から朝日が目に飛び込んできた




「んー、今日もいい朝だ」




俺は日本の高校の入学式目前に帰国した

高校もイギリスの学校に進学する予定だったが、俺を可愛がってくれた伯父さんが亡くなった

伯父さんは1年前に癌が見つかり、短い余命を告げられた

伯父さんの癌が見つかってからすぐ、伯父さんには日本に帰国するように言われた

だが、癌で苦しむ伯父さん一人を身内も誰もいないイギリスに置いて帰れるワケがないし、俺ももう子供じゃない

イギリスで一人でも暮らしていける

けれど、伯父さんは帰れの一点張りだった

日本への帰国を拒み続けた俺は、伯父さんの説得で、ギリギリのところで日本の高校へ願書を提出した

そして俺は、高校入試のために一時帰国をし、数年ぶりに大輝に会った




「おかえり遥輝」



数年ぶりと言うこともあって、家族に会うのは少し気まずかった

だが、空港まで迎えに来てくれた両親は昔と変わらない対応で迎えてくれた

それこそ、数日しか離れていないような感覚に陥るほど



「しばらく見ないうちに大きくなったわね」



そう言いながら、薄っすらと涙を浮かべる母さんに罪悪感さえ感じた




「久しぶりだな」

『うん、大輝も元気そうで何よりだよ』



昔と変わらない家に入ると、大輝が迎えてくれた

大輝も、姿形こそ大きくなったが、笑顔は昔のままだった




「あれから、俺がどんだけ枕濡らしたと思ってんだよ」




ニヤリと笑う大輝に




『宿題を写させてくれるヤツがいないからだろ?』




と、ニヤリと笑い返した



大輝は何も言わずイギリスに残った俺に冷たく当たるかと思ったが、小学生の時のまま何もなかったかのように迎え入れてくれた大輝に柄にもなく涙が出そうだった




「誠凜を受験すんのか?」

『うん。イギリスの友達の友達が誠凜を受験するらしいから、俺も誠凜に行こうかと思って…こっちの高校はよく分かんないし』




イギリスへ行った日から何一つ変わっていない子供部屋

俺の使っていた方はあの時のまま時間が止まっていた

母さんが掃除をしていてくれているようで、机の上には、ほこり一つない

そんなまだ子供染みた俺のベッドを大輝が占領していた




「バスケ…続けてんのか?」




恐る恐る聞いた来た大輝に、一応ね…と返すと参考書に目を向けた




「何してんだ?」

『何って見りゃ分かんだろ?受験勉強だよ。国語と日本の社会は向こうでは勉強出来ねーからな』

「そんなの後でやりゃいいだろ?バスケ続けてたんならオレと1on1やろーぜ」




満面の笑みで目を輝かせてる大輝をよそに、ノートにペンを走らせた




『やだね!向こうにいてもお前の強さくらいは聞いてる』

「は?誰に!?」

『さつき。それに、俺は勉強で忙しいから、大輝の相手をしてるヒマはないの』




大輝は顔をしかめながら舌打ちをすると、ベッドに顔を埋めた

こんなやり取り、昔もあったなと感傷に浸りながら拗ねている大輝を見つめた
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