HIKARI(BASKETBOLL)

□しばしの休憩
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「さ、帰ろっか!」

『そうっスね。いつまでもここに居られないし』



控え室に戻ると早々に帰り支度を済ませ、立ち上がったが、みんな動かない



「いや、ちょっ…ゴメン、マジ待って」

「2試合やってんだぞ。しかも王者…」

「んな、テキパキ帰れるか…!!」

「え?遥輝君は動けてるわよ?」

「なんで遥輝はフツーなんだよ…!!」

『俺、さほど出てないんで』

「出てたろ!活躍してたろ!!」

「てか、オレたちを遥輝みたいなバケモンと一緒にすんな!」

「あ、ゴメン」

『ちょ、バケモンとかヒドくねっスか?』



緊張の糸が切れたのか、先輩たちは動けない体を必死に動かすがゾンビみたいになってる



「オレらは少し休めば大丈夫そうだけど、火神がな。ムチャしたし」



火神は何とか体を動かそうとするが、動くどころか立てずにいた



『自業自得だバカ野郎』

「うっせーな!わかってるよ!」

「でも、いつまでもここにいるわけにもいかないし…とりあえずどっか1番近いお店に入ろう!火神君はだれかおんぶしてって!」

「じゃあ、ジャンケンで決めよう!」




部内でも1番ガタイのいい火神

疲れたところに、そんな重いやつをおぶさりたいやつなんて誰もいない

みんな逃れようと必死だ

ジャンケンの結果、黒子が背負うことになった

部内で1番ガタイがいいやつを部内で1番小柄なやつが背負う何てどっからどー見てもムリだ

変わってやろうかと申し出たが、ムキになった黒子に拒否された

頑固な黒子だ

意地でも火神を背負うつもりらしい

だが、結局黒子は列の最後尾で苦戦している

俺も黒子と火神の分のカバンを背負い、雨の中、黒子と火神が濡れないように傘をさしてやっているために最後尾だ



『黒子、大丈夫か?』

「すいません。もうムリです」

『え?』

「ちょ黒子テメッ、もっとがんば…あ゛〜〜〜!!!」

『あ』



限界に達した黒子は火神重さに耐え切れず火神を落とした



「ちょっとー!大丈夫?」



火神が落とされた音によって事を気付いた先輩たちがかけ寄って来た



「やっぱ、黒子が火神をおぶるのはムリだったか」

「ったく、しょーがねーな。遥輝、変わりに火神をおぶってやれ」

『え?』

「オマエたちは体格が似てるし、ちょうどいいだろ」




主将に俺が背負うのが当たり前みたいに言われた

そりゃ、適任かもしれねーけど…




『それって、ジャンケンした意味なく…』

「ごちゃごちゃ言ってねーでさっさと火神をおぶれ!オレたちに風邪引かせる気か!?」

『なっ!?』




何て横暴なんだ…

だけど、なぜかクラッチタイムに入ってしまっている主将に逆らえるわけもなく、仕方なく持っていたカバンを黒子に預けた



『ったく…しょーがねーな…ほれ、乗れ』




雨のせいもあって落とされた火神は泥だらけ

こんなやつを正直背負いたくないが、歩けない火神を放って置くわけにもいかず、仕方なく火神を背負うことにした



『う゛。おもっ…』



これじゃ黒子にはムリな話だ

だが、いくら体格が似てるからと言って俺もバカ力じゃない

黒子ほどじゃないが、火神の重さによって結局列の最後尾を歩くことになってしまった

そして、俺たちは近くにあったお好み焼き屋に入ることにした




「すいませーん」

「サンキュな、遥輝」

『どーいたしまして』

「黒子テメェ覚えとけよ、コラ…」

「すいません。重かったんで…」



黒子はそう言うも、悪びれた素振りは見せない

むしろ、しれっとしている



「ん?」



重たい火神のせいで痛くなった腰を叩いていると火神は何かに気付いたようだ



「お」

「ん」



火神の目線を追うと、そこには海常の笠松さんと黄瀬がいた




「黄瀬と笠松!?」

「ちっス」

「呼び捨てかオイ!!」



どうやら、俺たちの試合を見に来てたらしい



「すいません。16人なんですけど」

「ありゃ、お客さん多いねー。ちょっと席足りるかなー」



店内を見渡すと、結構客が入っており、席が足りるか微妙なところだ



「つめれば大丈夫じゃね?」

「あっ、ちょっとまっ…座るの早っ!」

「もしあれだったら相席でもいっすよ」



笠松さんが気を利かせてくれたおかげで、黒子と火神は笠松さんたちと相席

俺は残りの部員が座っている座敷に腰を下ろした



「遥輝君、お疲れ様。何飲む?」

『あー、じゃあウーロン茶で』

「わかったわ。君たちは?」



各自、好きなドリンクを頼み、そのドリンクが到着した




「よし!じゃあ…カンパー……」



主将が乾杯の音頭を取ると、店のドアが開いた



「すまっせーん。おっちゃん、二人。空いて…ん?」




開いたドアから姿を現したのは先ほどまで対戦していた秀徳の高尾と緑間だった
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