ＤＭＣ
□短い一日
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目の前が赤く染まる。
噛みちぎったものが何だったかなんて、確かめる余裕すらなかった。
激しい殴打が、頭ごと、躰をタイルの壁に叩きつけた。
回転して、歪む視界。
タイルを滑り落ちるところで、髪の毛を捕まれた。
まだ朝だというのにな。
頭からずぶ濡れになりながら。
唇を塞がれて、何を噛みちぎったかがやっとわかった。シャワーの湯が、溢れ出した赤を奪って行く。
肩と首に手がかかって、嫌な音と一緒に、暗く霞んで行く視界。
…今日も短い一日だった。
お前と正気でいる時間が、本当は、あと少し長い方が嬉しい。
そう言ったところで、きっと信じてはもらえまいがな…。