中くらいの夢・短い夢

□俺だけの。
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これは、独り占め禁止?
でも誰にもあげない。


『俺だけの。』



休み時間クラスにて。



「ねぇ忍足くんはいいの?」


「なにがや?」


「何ってあれ、あれっ。」

そう言って指差された方向には、俺の大事な彼女、優奈ちゃん。
そしてその横には彼女と楽しそうに話すクラスの男子。


「あれ絶対優奈のこと狙ってるわよ。」


「知っとるよ。」


「えっ、じゃあ知ってて野放しにしてるの?」


「優奈ちゃん楽しそうやから、
まぁええかなぁ〜と思って。」


「うわ、自信満々なのね。
知ってるなら、まぁいいけどさぁ。」



あんな風に男子と楽しそうに話す彼女を見るようになったんは、
俺と付き合いだしてからや。

それまでは、
話しかけんといてってオーラを出して、
でもその瞳は、いつだって悲しみに揺らいどった。

本当はどれほど孤独だったんやろか。

だから俺は何も言わん。
そりゃ、嫉妬せんわけやないけど。
でも今はそんなことより、
楽しそうな彼女を眺めているほうがよっぽど幸せやから。


それに、


「侑士く〜ん!」

そうやって俺を呼ぶ声も、
そのとびきりの笑顔も、
他の奴らに向けるそれとは、
全く違うってちゃんとわかってとるから大丈夫。


「侑士くん。あのね、あのね。
高橋くんが今度の日曜日水族館行こうって言うんだけど、
侑士くんも行けるでしょ!!」


「ええの?
高橋は、きっと優奈ちゃんと2人で行きたいんやない?」


「え〜そうなの?
私てっきり、侑士くんも一緒だと思ってた。
断ってこないと!」


「そうしときや。
水族館は、今度2人で行こな。」



「うん。
うぅなんて言って断ろう・・・。」


とびきりの笑顔も、
ちょっぴり困ったその顔も
今は俺だけの物、
この先も誰にもあげへんよ。
お願いされても無理やで高橋。

end



☆あとがき。

高橋くん涙目。
てか、優奈ちゃん天然設定じゃなかったような。
とにかく優奈ちゃんは、忍足大好きです。
今まで男子と話さなかった優奈ちゃんですが、
話すようになると人気うなぎのぼり、
忍足余裕ぶっこいてっと本当に取られちゃうよ。
5,000hitありがとうございました。
これからもがんばります。
桜井



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