夢の奏で
□7.祭り前の影
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「今週から文化祭直前ということで授業は2限目まで。
それ以降は能力別クラスで文化祭準備に当てて下さいv」
いつもと同じヘンな服を着たナル先生が忙しそうに教室を出て行った。
体質系のミュージカルの演出がナル先生らしい。
体質系の皆さん、同情します。
『蜜柑、私用事があるから先に行ってて?
ゴメンね。』
「んー、分かったー。」
文化祭の出し物の話をしている蜜柑に一言告げ、私は教室を出た。
何か今日は嫌な予感がしてならない。
任務が入ったりすることは諦めてるからいいけど・・・。
それとは別の嫌な予感。
例えば面倒事に巻き込まれ、罰則受けそうな・・・
取りあえず、私は気晴らしにある場所へ向かった。
***
『・・・・・・。』
木々がざわめき、小鳥がさえずる北の森。
風通しがよく、ここはとても心地よい場所なのだが・・・。
『・・・隠れていることに何の意味が?』
「・・・さすがだ。」
どうやらペルソナが待ち構えていたらしい。
私を待ってたか、棗を待ってたか・・・
それは検討がつかなかった。
『・・・任務?』
「初等部校長がお呼びだ。
ついて来なさい。」
私の質問には答えず、用件だけをいった。
『はぁ・・・。』
おもわず長い溜め息。
初等部校長はどうしても受けつけられない。
雰囲気といい性格といい・・・。
なるべく近い存在にはなりたくない。
「行く前に、忠告だ。」
『・・・黒猫?』
「本当に察しがいいな。
校長は何故お前が黒猫の分の任務もやるのか、と疑問に思っていた。」
『別にどうでもいいじゃない。』
校長の言いたいことは何となく分かる。
確かにあの酷な任務を他人の分までやるバカは私くらいだろう。
だからといってやると言ったのは私自身の意志だから、他人につべこべ言われる筋合いはない。
「まぁ、お前が黒猫の任務をやっていることで、絶対的に逃げることはないからこちらとしてはありがたいが。」
『自分の分だけでも任務からは逃げるつもりないけど。』
「私からの話はこれで終わりだ。
来なさい。」
ペルソナは私の腕を掴み、引っ張った。しかもかなりガッチリ。
『っ・・・』
それでも私は動かない。ペルソナは足をとめ私を鋭い目つきで見据える。
さっきの嫌な予感って、校長に呼ばれること?
思考では全く別なことを考えながら、私もペルソナを睨んだ。
『面倒くさいし、行きたくない。』
あ、今かなりヤバい状況。
いつのまにか口からでた本音の言葉に私はペルソナの顔をみて無効化のアリスのスタンバイをした。
いつも身にまとってる無効化のアリスはペルソナのアリスを無効化出来るほど強くない。
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