夢の奏で

□1.アリス学園
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「・・・・・・。」

『・・・・・・。』



沈黙。


ペルソナと別れた私は紅目君の後ろを歩いていた。

言葉は発しない。
ただついていくだけ。


この子、何か抱えているのかな、


背中を見てそう思った。



「お前・・・」

『・・・・・・?』

「何者だ。」


建物が見えてきたと思ったら、紅目君は建物の前で止まり、私と向き合って質問をぶつけて来た。



『名前を尋ねる時は自分から名乗って?』



私、生意気じゃない?


自分自身に問いかける。

ただ、自分から名乗るのが嫌だっただけだ。



「・・・日向棗。」

『私は朝丘ひなた。
よろしくね!』



とりあえず、笑っておく。

第一印象は大事だからね。



「何でアイツとここに来た・・・?」



紅目君は私への警戒をやめずに違う質問をした。



『アイツってペルソナのこと?
私のお迎え役だったの。』



余計なことは口にしない。

私がニコニコと笑ってるのに対し、紅目君は私のことを睨み続ける。



『・・・そんなに警戒されてもなぁ。』



アハハ・・・と苦笑いをしながら建物に入っていく。
紅目君はため息をついて私の後ろを歩いてきた。



『案内ありがとう。
じゃぁ、また明日。』



途中止まることなく部屋の前についた。

ドアの脇には私の名前が書いてある。
ここで間違いないようだ。

私は最後に微笑んで、部屋に入っていった。
紅目君の表情は険しいままだった。



***




『・・・広い部屋。』



部屋に入って、一言。
無駄に広かった。
それに、私にはこんな部屋もったいない。

時計を見てみると、現在午後11時30分。
通りで外も寮も静かなはずだ。


・・・紅目君は、危険能力系ってやつなんだろうなぁ。



『あれ・・・?
日向棗・・・?』


私は紅目君の名前を呟きながら、鏡と向き合い、ピアスをつけ始めた。


どこかで聞いたことのある名前。
顔は見覚えなかったから、初対面だろう。
ただ、いつ、どこで、誰に聞いたかが分からない。




『・・・ま、いっか。』



会ってるわけでもないし・・・。

特に気にはとめず、ピアスをつけ終わった私はベッドへダイブ。

ちなみにピアスは深い蒼と黒のストーンピアスだ。



『ねむ・・・。』



これ、どーみてもダブルベッドな気がする・・・。

どーでもいいようなことを考えながら、眠りについた。








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