夢の奏で
□1.アリス学園
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「学園についたらとりあえず休め。
明日から学校だ。」
『部屋が与えられるの?』
「あぁ。学園は全寮制だからな。
脱走なんて考えるなよ。」
『・・・。』
静まり返っている夜の道を、黒い車はその闇に溶け込むように走っていた。
私、朝丘ひなたは、その車の中。
全身黒服で仮面をつけ、ペルソナと名乗った男と今向かっているところについて話していた。
アリス学園のことを。
私は外の真っ暗な景色を見ながら、頬杖をついている。
とたんに、大きな建物が視界に入ってきた。
『ここがアリス学園?』
「そうだ。」
アリス学園。
"アリス"という不思議な力をもった人しか入学できないという学園。
私もその学園に入学する。
半ば強制で。
建物を見た瞬間、なんともいえない気分になった。
***
「ついたぞ。
・・・棗。」
無言で車からおりた私は、紅い瞳の棗と呼ばれた人と向き合う形となった。
睨まれているような気がするが、気にしない。
「こいつを寮まで案内してやれ。
部屋はお前の隣りだ。」
「・・・。」
「ひなた、明日の朝に初等部校長の部屋まで来い。
それと・・・これ、つけろ。」
ペルソナの手にあったのは、ピアスとブレスレットとチェーン・・・合計五つほど。
チェーンはスカートに通すものだろうか、長めに作ってある。
もちろん、これがただのアクセサリーじゃないことは私も分かってる。
おそらく、私の隣で目を見開いている紅い瞳の彼も。
『・・・・・・。』
私は無言で全部受け取る。
無言だったが、何かいいたげな目をしてみた。
アリスのコントロールは自信あるんだけどなぁ。
「ちゃんと全部つけるんだ。
分かってるな?」
『・・・はーい。』
ペルソナは私の目をちゃんと捉えていた。
私は小さく返事をする。
「もう行きなさい。」
「・・・行くぞ。」
紅目君(←棗)は早く立ち去りたいのか、スタスタと歩き出した。
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