大戦
□争いの理由
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呉の最前線、陸抗の私室でのこと…
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この夜、私は陸抗殿を訪ねていた。理由はただ一つ、あるお願いをするため。
陸抗「叔子、よく来てくれましたね。今、茶を出させます」
女官を呼び、茶を運ぶように頼んでくれた。
羊コ「あ、ありがとう…えっと…」
陸抗「どうしました?浮かない顔して」
羊コ「えっ…」
陸抗「だから、浮かない顔してどうしたんですか?具合でも悪いのですか?」
私はそんなに暗くしていたのだろうか。
羊コ「い、いや?私は元気ですよ?」
陸抗「そう、ですか?」
私の額に手を添えてくる。熱などあるはずもないのに。
陸抗「熱はないみたいですね。何か心配事でも?」
羊コ「えっと…そう、心配なんです」
陸抗「何がです?無理に言え、とは言いませんが、相談になら乗りますよ?」
羊コ「…晋で近々、呉を攻めることになったのです」
陸抗「あぁ、そうですか。それで何が心配なんですか?」
陸抗殿が大して興味もなさそうに言い放つものだから、私は少し熱くなってしまった
羊コ「なっ…!私と陸抗殿が戦わなければならないんですよ!?私は…陸抗殿と戦なんて…」
陸抗「できない、とでも言うつもりですか?」
羊コ「えっ…?」
陸抗「叔子も私も将軍という地位に誇りを持っている。それだけで十分ではありませんか。」
羊コ「でも!それでも…私は…」
目から涙が落ちた
陸抗「戦場でならば、あなたに斬られるかもしれない。それは分かっているでしょう?」
羊コ「分かっています…!でも…でも…!」
"あなたを慕っている"この一言を言ったら、陸抗殿は何てことを言うだろう。驚く?喜んでくれる…?いや、きっと軽蔑されるだけ…それは私が男だから。女性であれば、あなたに想いを伝えることができるだろうに。