へ夕利あ
□月のように包み込む優しさで あなたの傷を癒せたら
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国をあげた大役が終わり、久々の休暇を与えられて、邸でしなてぃちゃんと遊んでいたときのこと。
窓から陽が差さなくなったから不思議に思って顔をあげた先に、我と正反対の、大きすぎる背中が見えた。
「...はぁ......」
我は立ち上がるとしなてぃちゃんを部屋から出し、その背中に近付く。
「馬鹿なことをしたあるな。」
「......君も そう言うの?」
そう呟いた背中は、近付かなければ判らない程度ではあるが、いつもより些か小さく感じた。
背中の小ささと、夜になっても蒸し暑いこの外気が、まるでこいつを溶かしてしまいそうで...
我は、その背中に抱き付いた。
「、王くん?」
「うっせーある。そんな声出すなある。」
「僕、君に心配されるような声なんて出した?」
クスクスと笑いながらの言葉は無理に出しているようで、回す腕に、力を込める。
「別に、お前の心配なんてしてねーある。」
「そう?それは残念だなぁ。」
それから、暫く音がなかった。
我は暑さも気にせず、この男を捕まえていた。
そうでもしなければ、どこかに行ってしまいそうで。
「.........寂しかったんだよ」
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