へ夕利あ

□一緒に
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長期に渡る徹夜(カンヅメ)が明けて
久し振りに外に出たら
国中お祝いモードだった

何のお祝いだか 心当たりはなかったけど
国民が元気なのは良い事だし
俺もなんだか元気になる



...だけど 幾ら体が元気になったって
カンヅメはやっぱ精神的にも
キツいものがある訳で



取り合えず
アーサーに会って癒されたくて
会えるのも久し振りだからって
卸したてのスーツに身を包んで出た



擦れ違った上司が何か言ってたけど
ちょっと聞こえない振りした
(一週間も仕事尽くしだっんだ
 これくらい許してよ)










アーサーの家の前に着くと
いつも襟を正して深呼吸をする



開けた途端 表情を緩めてしまわぬように



それから チャイムに手を伸ば...





ごん





「っづっ」

「あっ悪ぃ 大じょ...っ何でお前が家の前にいるんだよばかぁっ!!」

「...人に扉ぶつけておいて 馬鹿はないよね ふつう」

「......今度から確認して開けるようにする......」

「よし...あれ?今日何かあるのか?」





俺がそういったのは
こいつがいつも以上の正装で
種類は体に隠れて見えないけど
花束なんかを持っていたから



何かあるなら仕方がないから帰ろうか
って思ってわざわざ聞いてやったのに
アーサーには「は?」とか言われた





「お...ま...今日何の日か覚えてないとか言わないよな?」

「...今日なんかあったっけ?」

「こっのばかぁっお前自分の誕生日くらい覚えておけっ!!国民に失礼だろうがっ!!」

「え.........今日ってもう7月14日?」

「そこから知らなかったのかよ 呆けたのかっ!?」





そう言えば 成程
今日は俺の誕生日だった訳だ

そりゃ国民みんなお祝いするな
(なにしろ休みになるし)

仕事頑張んなきゃって思ったのも
確か今日休むためだった気もする...





「......まぁ 良い ...ん」



「、別に祝いたくて祝ってる訳じゃないからなっ!!祝わないと俺の紳士の良心が痛むだけだからなっ!!」





ぐるぐるしてる間に差し出されたのは
真白と真紅の奇麗なコントラスト



ウチの花と アーサーん家の花......





「......おめでとう フランシス...お前ん家の言葉で言えれば良かったんだけどな...っ」





さっきまでとは打って変わって
頬を真っ赤にして言うから
俺は堪らなくなって
アーサーを胸に抱き締めた
(あ 勿論 花束は片手で受け取ったよ
 折角のプレゼントを
 潰したくはないからね!!)





「ばっフランシっ...っ」





一度体を話して顔を見詰めて
口付けて舌を入れたら
文句を言いたそうにしながらも
アーサーからも貪欲に舌を絡めてきた





「ありがと アーティー」

「っ先に口で言えっ」

「口?」

「言葉っ!!」

「いやーだって お前可愛いんだもん」

「だもんじゃねぇばかぁっ!!......はぁ...行くぞ」

「行くって どこに?」





この甘い雰囲気に水を注された気がして
心持ち唇を尖らせながら言ったら
今度こそ呆れたようにため息を吐かれた





「.........お前の誕生パーティーだろ......丁度良くスーツも上物だしな」

「え あぁ うん なに?一緒に行ってくれるの?」

「菊と約束しちまったからなっ!!ほらっ花瓶に入れてやるから 花も置いて行けっ!!」





そう言って
奪い取るように持っていかれた花束



それって......

帰りも寄って良いって事?って訊いたら

ばかぁって言われた





......可愛い






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