忍たまテキスト2
□結婚
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**逢瀬-半助と -**
そこは酷く狭い部屋の一室で
室内は彩りがなく灰色で
天井は四角く切り取られ蒼い蒼い澄んだ空が見えていて
障子が閉められているのに何故か廊下を行き交う人々の姿は見えていて
何やら愉し気に話しているようなのだが全く話し声が聞こえず
その顔には朱で「バン」の梵字が刻まれた白い布が被せられており表情は一切見えず
耳鳴りがするほどの静寂に包まれながら、私は徳利を交わしていた。
「そっちはどうだ?忍務から解放されて楽になったろう」
「ああ、私はご覧の通りだ。可愛い教え子達と毎日奮闘しているよ」
「いや違うぞ。あいつらが予習復習しないからであって私は悪くないぞ」
「お前に石頭なんて言われたくないわ!」
「…はは、あの時に比べたら幾分か丸くなったよ、私も」
「おお、そうだ。皆は元気でやっているか?たまにはこうして顔をみせてくれればいいものを」
「…そう、だな。次にあいまみえる日を楽しみにしているよ」
「…なあ」
「…お前は、まだ…こちらにこれないのか?」
「もう…待ちくたびれたよ」
半助 もう 墓にはこなくていいから
刹那、頭のてっぺんから降り注ぐ、細い声。
びゅう、と空から風が舞い降りてきて、私は目覚めた。
「あ、せんせおはよ!朝ご飯作っておいたよ」
「…」
「大家さんが産みたて卵くれたんだー。バイトのお駄賃にって。やっぱりおれの日頃の行いがいいからだねー!今日は玉子焼き………」
「先生、どうしたの?どこか痛いの?」
「っ……っ…」
「せんせぇ、ねえっ…」
………………………
半助がめとらない理由を書きたかったけど、これじゃわからないよね。雰囲気だけ出せたらいいかな。
死語の国の一歩手前の一室にて。
ところで気が付けば私はいつも半助を死の一歩手前に引きずり込んでるのですが。