忍たまテキスト2

□歌詞
1ページ/5ページ

歌詞-伊作と留三郎-

「フンフフンフフンフフンフンフン」
「やあご機嫌だな留三郎」
「ああ、すこぶるハッピーだ」
昨日から食満のテンションが尋常ならざる高さを誇っている。
原因は昨日伊作と共に行ったとある異国の音楽家達(っつーかバンド)の音楽会(っつーかライブ)である。
意外にも音楽にこっそりたぎる情熱を注いでいた武闘派食満留三郎が音楽会(っつーかライブ)にて盛大にリスペクトされ、「俺も歌を作るぞ!今にみていろ!」とやる気がはみ出しすぎてわけのわからない発言をするなり紙と筆をもち創作活動に励んでいた。
そして今に至るのであった。
さっきから長屋のは組の一室は怪しげな鼻歌とたまに漏れる謎の外来語で充満していた。
「よしできた!」
「よかったねおめでとうそしてお休み」
「ウェイ!ジャストウェイウェイ!まだ眠るには早いぜ子猫ちゃん!」
「僕は子猫じゃありません霊長類ですお休み」
「hey!you!どうしたんだ、いつものお前らしくない。どうしてそんなにCOOLなんだ?why?」
「日本語話してください僕外来語わからないです」
伊作は食満の創作活動に関していえは大変協力的であったし、実は歌が上手い食満の歌を聴けることを楽しみにしていた。
しかし昨日からの、彼のこのやたらフレンドリーMAXなテンションは少々、否おもっくそ疲れるしなんかむかつくものがある。
歌もこの調子なのかと思うと聴く気も失せる。
できることならいつもの硬派で武闘派な食満に戻って欲しい、そう思った。
「じゃあ寝る前に俺のsoulフルな歌を聴いてくれ」
「…うん…いいけど、小声でね。今夜だから」
「OK☆お前のお望み通りリトルボイスでshoutするぜ」
「うん、叫ぶなってば」
某暴君ばりに話を聞かない相方にげんなりの伊作であった。
「コホン…曲名は『堕天使tonight』」
タイトルが僅かな期待を討ち滅ぼした。
歌はせめて硬派で武闘派であるかも、と淡く期待していた自分が馬鹿だった。

『堕天使tonight』
「♪明日はどっちだ」
「パクり駄目!」
「パクりなんかじゃない!れっきとした俺の言葉だ!」
「じゃあ二番煎じかっこわるい!」
「歌を聴く前からダメ出しNG!」
ダメ出しではなく版権が絡むから忠告したのにNGとはこれいかに。
他にも色々危うい点が見受けられるかもわからないので、伊作は一度全部聴こうと決めた。

『堕天使tonight』
明日はどっちだ 過去はあっちだ
悔い改めてbloody cross
二度と会えないsweet memory
全世界は俺にひざまづけ(THEworld)

買っちゃった赤褌後悔すんなYO!(エコー)
昨日からなんも食ってないYO!(エコー)

運命の女神がシッペ返しgoddess
jetが逆噴射でオーソレミーオ
時刻は間もなく午前2時
髪の毛かきむしれwildに

RYTHEMに乗るぜなんて言わすなYO!
アヒルにも乗らないぜ ride on ride on

皆俺に力を分けてくれ!
皆俺に血肉を与えてくれ!



歌い終えた食満の顔は憎々しいほど清々しかった。
「どうだ!」
「歌詞と曲以外はいいと思うな」
「全てNG!?」
冷徹に言い放った伊作は正直だった。
「いや、君の歌声は素晴らしいよ。ただ、纏まりのない混沌とした歌詞と一小節ごとに変動が激しすぎる曲がいただけないんだ」
「それって全部…」
「いや、君の歌声は素晴らし」
「ああ分かった、分かったからいい…ワンモアはノーサンキュー…」
テンションが下がったというのにまだ外来語を使用しまくる食満に伊作はわだかまりを抑えられない。
「そもそも僕ら一応室町の人なんだから外来語はどうかと思うな」
「室町なのにここの舞台背景様々な単語飛び交ってるじゃないかアニメも原」
「兎に角、歌詞を一つ一つ見直すのも大変だし、いっそコンセプトを変えてみるのはどうかな?」
「…」
伊作は食満の突っ込みをかきけした。
「…これじゃ駄目か」
「駄目というか…駄目だね」
今日の伊作は手痛い。
ありとあらゆる食満を覆す。
食満はべっこり凹んだ。
「個人で楽しむ分にはいいんだ。でも君の事だからきっと皆に披露するんじゃないかって思って」
「何故分かった!」
「伊達に長年友達やってないよ。だからさ、誰もが楽しく聴ける音楽を作ろうよ。今時破壊的な音楽は流行らないし、前向きになれない。僕も手伝うからもう一度新しい歌を考えよう」
別に破壊的なつもりもネガティブなつもりもないのだが…
伊作のキラキラした眼差しに気圧され、言われるがままの食満であった。

「い、伊作…さすがにこの音は高過ぎ…」
「君ならできるよ頑張って!」

「い、伊作…さすがにこの歌詞はお花…」
「メルヒェンだっていいじゃないか!」

「い、伊作…さすがに…」
「黙って歌うの!」



「というわけで僕と留三郎の歌を聴いてくれ!」
「…」
「食満の元気がないようだが…」
「きんちょーしてんのか?」
「こいつの歌なんて耳が腐るぜ!」
「パチパチ」


「曲名は…『きらめく昼下がり』だ…」

五月の花園には 夢の幸せいっぱい
きらめく昼下がり 朝顔目をさます(ルルルルルル←コーラス)

子犬は無邪気にむかでと遊び
ひな菊はそよ風仰ぎ眠る

五月の花園には 夢の幸せいっぱい
(ラララ←コーラス)
花達が歌う庭 きらめく昼下がり

きらめく昼下がり



一同のゴーストは囁いた。
「あーこりゃ食満の歌じゃねえな」と。
歌い終えた二人の表情はおもしれえほど対象的であった。
唯一長次だけが笑顔で拍手喝采していた。


「今度は何歌う?」
「…おれ、コーラスでいい…」










………………………
きらめくひるさがりでピンとくるひとがいたら自分と同世代です。
もうお友達です。
昨日の某大学で行われたアシッドマンのライブがすげぇよすぎたので食満にリスペクとしてもらいました。
やりすぎた。今はちょっとだけ反省している。
食満の歌詞にいちいち反応しめす言葉があったら自分と同世代です。
もうお友達です。
ってか食満ごめん。あなたをぶちこわしてごめん。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ